これには、ツキナも涙を止めて呆然。

「ふー、やれやれ。うーん、座り心地の悪いベンチですねぇ」

ベシベシ、と棺桶を叩くナジュせんせー。

成程、非常に罰当たり。

「な、ナジュ先生!そんなことしたら…そんなことしたら呪われちゃいますよ!」

「良いですよ?ツキナさんが呪われるくらいなら、その呪い、全部僕に回ってくれば良いんです。あなたの身代わりになれるなら、本望ですよ」

「な…ナジュ先生…!ありがとぉぉぉ…」

と、ツキナは泣いてナジュせんせーに感謝していた。

…ずっ…る〜…。

それ、俺がやりたかったのに。

「ふっ。こういうのは、早い者勝ちなんですよ」

「ナジュせんせー…。例えナジュせんせーが呪われなかったとしても、代わりに俺が呪うよ」

覚えておけよ。

俺の呪いは怖いからな。

ってか、ナジュせんせーには本命がいるじゃん。何で俺の本命を奪おうとするのさ。

性格悪過ぎでしょ。

「で、このベンチ…もとい、棺はどうしたんですか?」

「畑の中に埋まってたんだって。それを、『八千歳』と園芸部の部長が掘り出したって」

『八千代』が、俺の代わりに説明した。

「ふーん…。誰の棺なんでしょうね?」

「さぁ。分からない」

その、誰か分からない棺桶の上に座ってるんだよ。ナジュせんせーは。

本当に罰当たりだけど、ナジュせんせーはちっとも動じてない。

まー、不死身のナジュせんせーに、今更恐れるものなんてないだろうけど。

「やっぱり、別の場所に埋め戻した方が良いのかな?」

と、尋ねる『八千代』。

「勝手に場所、移していーの?」

「分からないけど…。でもこんなところにあったら邪魔じゃない?」

「うん。まー邪魔だね」

畑だからね。

これからここに、カブ植える予定だから。

まー、今日はもう、このアクシデントのせいで、植え付けは無理そうだけど。

何処の誰かは知らないけど、ここに埋められてたら、邪魔。

って、俺達も大概罰当たりだよねー。

元暗殺者に何を言うか、って感じだけど。