神殺しのクロノスタシスⅣ

「どーしたのさ、『八千代』」

「走ってたら、そこの女の子の泣き声がしたから、何かあったのかと思って」

成程。ギャン泣きだもんねツキナ。

「どうしたの?それ何?」

「棺桶」

「何処から見つけたの?」

「畑の中。耕してたら出てきた」

「中、誰がいるの?」

「さぁ」

干からびたミイラとかかな?

ツタンカーメンとか?

開けてびっくり玉手箱、だったりして。

「何で、学校の中に棺桶があるんだろう?」

「知らない。どーしよ?これ」

「うーん…」

ギャン泣きのツキナの頭を、よしよしと撫でながら。

『八千代』と二人で、棺桶の処遇について悩んでいたら。

そこに。

「何だか騒がしいですね。何やってるんですか?」

「あ、不死身先生」

「ナジュせんせーじゃん」

園芸部のなんちゃって顧問、ナジュせんせーが現れた。

途端。

「うわぁぁん、ナジュ先生〜っ!!」

あっ、こら。

ツキナが、ナジュせんせーの姿を認めるなり、ナジュせんせーの胸に飛び込んだ。

こ、こんの…!

「お?どうしたんですかツキナさん」

「ぶぇぇぇぇん!」

…釈然としない。

何で?何でナジュせんせーを見つけるなり、ナジュせんせーに飛びつくの?

「やっぱり、僕がイケメンカリスマ教師だからじゃないですか?ふふ、悪いですねぇ」

何だ、その勝者の笑み。

めっちゃムカつく。

「この女誑し教師…」

イレースせんせーに言いつけてやろうか。

「呪われちゃう〜!ナジュ先生〜っ!私呪われちゃうよぉぉぉ」

「へぇ?どうしたんですかいきなり…。大丈夫ですよ、あなたは呪わせませんって」

「ふぇぇぇぇん!」

泣き止まないツキナである。

「…どうしたんですか?本当に、これ」

「…これだよ」

俺は、さっき掘り出した棺桶を指差した。

ナジュせんせーなら、詳しく説明しなくても、心読めば分かるでしょ。

「あー、成程。ふーん…分かりました」

と、ナジュせんせーは頷き。

「大丈夫ですよツキナさん。棺桶に鍬を突き立てたからって、呪われやしませんから」

「うぇぇぇ、でも、だってぇぇ」

「大丈夫。ようは、もっと罰当たりな人間がいれば良いんでしょう?そうしたらそっちを呪うはずだから…。よいしょっと」

「えぇぇぇ!?」

あろうことか。

ナジュせんせーは、腰掛け代わりに、棺桶に腰を下ろした。