…まさかの。

園芸部の畑に、棺桶が埋まってた。

一体何処の誰が、こんなところに埋葬されたんだか…。

「ひょえぇぇぇごめんなさいごめんなさい!呪わないでください〜っ!!」

ツキナは、掘り起こしてしまった遺体の霊が呪いに来るのではないかと、その場に全力土下座して、棺桶に謝罪。

いや、掘り起こしたのは俺だから、呪いを受けるのも俺なんじゃない?

あ、でも最初に鍬で一撃加えたのはツキナか。

まー何でも良いけど。

何処の誰か知らないか、呪うなら、何も悪いことしてないツキナじゃなくて、悪いことしかしてこなかった俺にしてね。

その方が呪い甲斐もあるでしょ。

で。

とりあえず、白い棺を地面に下ろす。

「ふぇぇぇんすぐり君!私達、知らないうちに、墓地にカブ植えようとしてたんだぁ!」

半泣きでしがみついてくるツキナ。

こんな状況だけど、内心ガッツポーズ。

「だいじょーぶだって。墓地に畑作るくらい」

俺のこれまでの倫理観からしたら、その程度可愛いもんだよ。

墓地に畑を作ることの、何が悪い。

そんなところに埋まってる方が悪いんだよ。

しかし、ツキナは罰当たりなことをしてしまったと思っているのか、

「うぇぇぇん!私達祟られるんだぁ!安らかな眠りを妨げた報い〜!って、呪われちゃうよぉぉぉ」

と、ギャン泣き。

良い子だなぁツキナって…。

俺なんかとは、倫理観が違うね。

大丈夫大丈夫。ここまで倫理観の違う二人がいたら、呪われるとしても絶対俺だからさ。

「しっかし、何でこんなところに棺桶なんか埋まってるのかなぁ?」

「うぇぇぇぇん!」

困ったなー。ツキナが泣き過ぎて、俺が何喋っても独り言になってしまう…。

と、思っていたら。

「何してるの?『八千歳』。それ何?」

「あ、『八千代』じゃん」

学院の敷地内ををジョギング中だった『八千代』が、畑にやって来た。