「何が埋まってるかなんて、掘ってみたら分かることでしょー」

俺は、さっきツキナが鍬を振り下ろした位置に立った。

「ちょっと下がっててね、ツキナ」

「すぐり君…?どうするの?スコップで掘るんじゃないの?」

「スコップで掘っても良いんだけど…。時間がかかるからね〜」

今日は、カブの植え付けをするんだからさ。

土を耕す段階で、もたもたしてられないよね。

俺は得意の糸魔法で、両手の指から糸を放出した。

真っ直ぐに伸びた透明な糸が、ブスッ、と地中に潜った。

糸に触れる感触を頼りに、異物の位置を手繰り寄せる。

「おぉっ、すぐり君凄い!」

「でしょ〜?」

もっと褒めてくれても良いよ。

すると間もなく、糸が硬い何かに触れた。

あ、これだな。

てっきり、球体の硬い石だと思っていたが…。

「…んん?」

「…?すぐり君、大丈夫?」

「…何だこれ。なんか、予想以上にでっかいよ」

「えっ?」

糸を伸ばしても伸ばしても、まだ硬い感触がする。

予想以上に大きい。1メートル以上はあるよ。

しかもこれ、球体じゃない。

横に長い…?いや、縦に長い…感触からして、石じゃない…何かが、土の中に埋もれている。

「…?引っ張り出して良い?」

「え?うん」

謎の何かに糸を絡ませ、力を込めて持ち上げる。

ズボッ、と土から出てきたそれに、俺もツキナも言葉を失った。

思ったより軽かったけど、大きさは思った以上だった。

しかも、土まみれのこれ…。

「ひ、ひぇぇぇ!?」

ツキナが、真っ先に悲鳴をあげた。

無理もない。

俺が地中から引き摺り出したのは、白い棺…棺桶だったからだ。