…今、どんな気持ちなんだろうな、珠蓮は。
想像しただけで辛いから、考えないけどさ。
でも、無意識に考えずにはいられない。
今、どれだけ珠蓮が、自分の愚かさとミルツの裏切りに嘆いているか、と。
ミルツの魂胆に気が付かなかった。ミルツの本心を見抜けなかった。
そのせいで、こんな事態を招いてしまった。
神聖な封印は穢され、珠蓮が必死の思いで守ってきた、その日々を侮辱された。
まさかこんな形で、背中から撃たれるとは思ってなかっただろうな。
珠蓮、お前は怒って良い。
言葉の限りミルツを責め立て、罵倒し、罵って良い。
騙されていた者、裏切られた者として、その権利がある。
しかし。
珠蓮は、それをしなかった。
代わりに。
「お前は、魔導師排斥論者なのか?」
語気を荒らげることもなく、あくまで落ち着いたまま、ミルツに尋ねた。
「魔導師排斥論者という一括に区別されるのは、遺憾ですが…。しかし、魔導師排斥論者であることは事実です」
「いつから?最初からか」
「いいえ、最初からではありません。その素養は持っていたのかもしれませんが、私が魔導師を厭うようになったのは、あなたに師事してからです」
「…」
…それは、つまり。
自分が魔導師排斥論者になったのは、珠蓮のせいだと言いたいのか?
想像しただけで辛いから、考えないけどさ。
でも、無意識に考えずにはいられない。
今、どれだけ珠蓮が、自分の愚かさとミルツの裏切りに嘆いているか、と。
ミルツの魂胆に気が付かなかった。ミルツの本心を見抜けなかった。
そのせいで、こんな事態を招いてしまった。
神聖な封印は穢され、珠蓮が必死の思いで守ってきた、その日々を侮辱された。
まさかこんな形で、背中から撃たれるとは思ってなかっただろうな。
珠蓮、お前は怒って良い。
言葉の限りミルツを責め立て、罵倒し、罵って良い。
騙されていた者、裏切られた者として、その権利がある。
しかし。
珠蓮は、それをしなかった。
代わりに。
「お前は、魔導師排斥論者なのか?」
語気を荒らげることもなく、あくまで落ち着いたまま、ミルツに尋ねた。
「魔導師排斥論者という一括に区別されるのは、遺憾ですが…。しかし、魔導師排斥論者であることは事実です」
「いつから?最初からか」
「いいえ、最初からではありません。その素養は持っていたのかもしれませんが、私が魔導師を厭うようになったのは、あなたに師事してからです」
「…」
…それは、つまり。
自分が魔導師排斥論者になったのは、珠蓮のせいだと言いたいのか?


