「大丈夫か、ジュリス」
「ん?あぁお前らか…」
ベリクリーデを捕まえて、こちらを振り向くジュリス。
溜め息の一つでも聞こえてきそうだな。
「ジュリスとベリクリーデが見張り番だったんだな」
「そうだよ。シュニィに頼まれてな…。だが」
だが?
「こいつは、見張り番に全く向いてない。五分とじっとしてられねぇから、あっちにふらふら、こっちにふらふら。なんか興味あることやらせると、大人しく座ってるんだがな」
幼児だな。
成程、それであやとりか。
手遊びでもやらせていれば、大人しく座っているだろう、と。
しかし如何せん、ベリクリーデは不器用なので。
あやとりの腕前が、幼児以下。
見てみろ。さっきベリクリーデが弄っていたあやとりの紐、自称蝶々を名乗っていたが。
絡まり合ってぐちゃぐちゃになっているのを、ジュリスが直していた。
本当に、幼稚園児と先生って感じだな…。
「…心から同情するよ、ジュリス…」
「全くだ。今度シュニィに頼んどいてくれ。こいつと一緒に任務はやめてくれって」
それは無理じゃないか?
だって。
「すると、それはそれで、お前がいない間ベリクリーデが何してるか分からないぞ」
「あ、そうか…。また奇天烈なことしてんだろうな…。だったら、傍に置いて見張ってる方がマシか…」
どっちに転んでも、って奴だな。
諦めの境地に達したらしいジュリス、遠い目。
そんなジュリスを、ベリクリーデはきょとんとして見つめていた。
自分のせいだとは、微塵も思ってないんだろうな。
ベリクリーデは、そのまま純朴なベリクリーデでいてくれ。
…で、それはともかく。
「…この二人が見張りなのか?」
一連のやり取りを見ていた珠蓮が、怪訝そうに尋ねた。
「この二人で大丈夫なのか?」と聞きたいんだろうな。オブラートに包んでくれてありがとう。
大丈夫だ。
「あぁ、俺達が見張りだよ」
「心配ない。こう見えて二人共、聖魔騎士団魔導部隊屈指の魔導師だから」
何なら、俺より強いくらいだぞ。
「そうか…」
…まぁ、さっきの間抜けなやり取りを見ていたら、不安になるのも分かるが。
しかし大丈夫だ。やるときはやる。二人共。
「で、お前達用件は何だ?面会希望か?」
と、尋ねるジュリス。
あぁ、そうだった。来訪の目的を忘れるところだった。
ベリクリーデの蝶々が、かなりインパクトあったせいで。
「そうだ。ここにいる…ミルツ・シュテインに会わせて欲しい」
珠蓮が、ジュリスに向かって言った。
「…」
ジュリスはしばし無言で、珠蓮を見つめた。
そして。
「…あんた、例の…賢者の石の番人とかいう奴だな?」
「あぁ」
「石を勝手に持ち出した、不肖の弟子に会いに来たのか」
「…そうだ」
ジュリス、お前容赦ないな。
「…気持ちは分かるが、一応規則では、被疑者との面会は、親族と弁護士、聖魔騎士団以外の人間は原則禁止なんだが…」
そうなんだよ。
規則に則れば、珠蓮はミルツに面会することは出来ない。
ジュリスも聖魔騎士団の人間として、規則に反して、面会を許可する訳にはいかないだろう。
それが分かっていたから、俺とシルナがついてきたのだ。
「ん?あぁお前らか…」
ベリクリーデを捕まえて、こちらを振り向くジュリス。
溜め息の一つでも聞こえてきそうだな。
「ジュリスとベリクリーデが見張り番だったんだな」
「そうだよ。シュニィに頼まれてな…。だが」
だが?
「こいつは、見張り番に全く向いてない。五分とじっとしてられねぇから、あっちにふらふら、こっちにふらふら。なんか興味あることやらせると、大人しく座ってるんだがな」
幼児だな。
成程、それであやとりか。
手遊びでもやらせていれば、大人しく座っているだろう、と。
しかし如何せん、ベリクリーデは不器用なので。
あやとりの腕前が、幼児以下。
見てみろ。さっきベリクリーデが弄っていたあやとりの紐、自称蝶々を名乗っていたが。
絡まり合ってぐちゃぐちゃになっているのを、ジュリスが直していた。
本当に、幼稚園児と先生って感じだな…。
「…心から同情するよ、ジュリス…」
「全くだ。今度シュニィに頼んどいてくれ。こいつと一緒に任務はやめてくれって」
それは無理じゃないか?
だって。
「すると、それはそれで、お前がいない間ベリクリーデが何してるか分からないぞ」
「あ、そうか…。また奇天烈なことしてんだろうな…。だったら、傍に置いて見張ってる方がマシか…」
どっちに転んでも、って奴だな。
諦めの境地に達したらしいジュリス、遠い目。
そんなジュリスを、ベリクリーデはきょとんとして見つめていた。
自分のせいだとは、微塵も思ってないんだろうな。
ベリクリーデは、そのまま純朴なベリクリーデでいてくれ。
…で、それはともかく。
「…この二人が見張りなのか?」
一連のやり取りを見ていた珠蓮が、怪訝そうに尋ねた。
「この二人で大丈夫なのか?」と聞きたいんだろうな。オブラートに包んでくれてありがとう。
大丈夫だ。
「あぁ、俺達が見張りだよ」
「心配ない。こう見えて二人共、聖魔騎士団魔導部隊屈指の魔導師だから」
何なら、俺より強いくらいだぞ。
「そうか…」
…まぁ、さっきの間抜けなやり取りを見ていたら、不安になるのも分かるが。
しかし大丈夫だ。やるときはやる。二人共。
「で、お前達用件は何だ?面会希望か?」
と、尋ねるジュリス。
あぁ、そうだった。来訪の目的を忘れるところだった。
ベリクリーデの蝶々が、かなりインパクトあったせいで。
「そうだ。ここにいる…ミルツ・シュテインに会わせて欲しい」
珠蓮が、ジュリスに向かって言った。
「…」
ジュリスはしばし無言で、珠蓮を見つめた。
そして。
「…あんた、例の…賢者の石の番人とかいう奴だな?」
「あぁ」
「石を勝手に持ち出した、不肖の弟子に会いに来たのか」
「…そうだ」
ジュリス、お前容赦ないな。
「…気持ちは分かるが、一応規則では、被疑者との面会は、親族と弁護士、聖魔騎士団以外の人間は原則禁止なんだが…」
そうなんだよ。
規則に則れば、珠蓮はミルツに面会することは出来ない。
ジュリスも聖魔騎士団の人間として、規則に反して、面会を許可する訳にはいかないだろう。
それが分かっていたから、俺とシルナがついてきたのだ。


