『サンクチュアリ』解散のニュースが、国内に報道された、その翌日。
俺とシルナはこの日、寿木珠蓮と共に、聖魔騎士団にある拘置所に向かった。
そこは一般の拘置所とは違って、魔導師専用の拘置所である。
一般人なら、鍵付きの檻に入れられると、それだけで脱出は不可能になるが。
魔導師なら、鉄格子で囲われたくらい、障害にも何にもならない。
よって、魔導師を拘束する場合は、聖魔騎士団が警護を務める、魔導師専用の拘置所に送られることになる。
ここで収容される者は、鉄格子に囲われてはいるが。
更に、牢の出入り口で、必ず複数名の魔導師が見張りをしている。
普段は、聖魔騎士団魔導部隊所属の魔導師が数名、交代で見張りに立っているだけだが。
今回の「お客様」には、特別な見張りが必要だ。
その点はシュニィが抜かりなく用意している、とのことだったが…。
鉄格子が近づくにつれ、見張り番の声が聞こえてきた。
「ほら、これで星になるだろ?」
「おぉー、凄い凄い。ジュリス器用だねー」
「お前が下手くそ過ぎるんだよ…」
「私にも出来るよ」
「ほう?じゃあやってみろよ、さっき教えた蝶々」
「うん。えーと、まずは親指に紐をかけて…小指に回して…」
「おい待て違う。それ人差し指。お前自分の指の区別ついてるか?」
「それから左手で小指の紐と…もう一本小指を取ってー」
「中指だ中指。お前小指何本あるんだよ?」
「くるっと回すとかんせ、…あれ?」
「…」
「…蝶々出来た」
「…出来てねぇじゃん…」
聞こえていた声の主は、勿論。
聖魔騎士団魔導部隊大隊長の、ジュリスとベリクリーデであった。
で、さっきから二人が何をやっていたのかと言うと、それは二人の手元を見れば一目瞭然。
あやとりである。
蝶々を作ったと言うベリクリーデだが、ただのぐちゃぐちゃになった紐でしかない。
あれを蝶々と呼ぶには、かなり無理があるぞ。
しかも。
「あ、見てほら、窓。本物の蝶々だ〜」
「あ、こら待て!勝手に持ち場を離れんなって!ったく、五分とじっとしてねぇんだからこいつは!」
ふらふらと歩き出すベリクリーデを、急いで止めるジュリスである。
…うん。
「相変わらず、苦労してんな…ジュリス」
まぁ、二人共見張り番をするには、充分過ぎる戦力だけどさ。
ちょっと、ベリクリーデの性格に難があり過ぎるぞ。
俺とシルナはこの日、寿木珠蓮と共に、聖魔騎士団にある拘置所に向かった。
そこは一般の拘置所とは違って、魔導師専用の拘置所である。
一般人なら、鍵付きの檻に入れられると、それだけで脱出は不可能になるが。
魔導師なら、鉄格子で囲われたくらい、障害にも何にもならない。
よって、魔導師を拘束する場合は、聖魔騎士団が警護を務める、魔導師専用の拘置所に送られることになる。
ここで収容される者は、鉄格子に囲われてはいるが。
更に、牢の出入り口で、必ず複数名の魔導師が見張りをしている。
普段は、聖魔騎士団魔導部隊所属の魔導師が数名、交代で見張りに立っているだけだが。
今回の「お客様」には、特別な見張りが必要だ。
その点はシュニィが抜かりなく用意している、とのことだったが…。
鉄格子が近づくにつれ、見張り番の声が聞こえてきた。
「ほら、これで星になるだろ?」
「おぉー、凄い凄い。ジュリス器用だねー」
「お前が下手くそ過ぎるんだよ…」
「私にも出来るよ」
「ほう?じゃあやってみろよ、さっき教えた蝶々」
「うん。えーと、まずは親指に紐をかけて…小指に回して…」
「おい待て違う。それ人差し指。お前自分の指の区別ついてるか?」
「それから左手で小指の紐と…もう一本小指を取ってー」
「中指だ中指。お前小指何本あるんだよ?」
「くるっと回すとかんせ、…あれ?」
「…」
「…蝶々出来た」
「…出来てねぇじゃん…」
聞こえていた声の主は、勿論。
聖魔騎士団魔導部隊大隊長の、ジュリスとベリクリーデであった。
で、さっきから二人が何をやっていたのかと言うと、それは二人の手元を見れば一目瞭然。
あやとりである。
蝶々を作ったと言うベリクリーデだが、ただのぐちゃぐちゃになった紐でしかない。
あれを蝶々と呼ぶには、かなり無理があるぞ。
しかも。
「あ、見てほら、窓。本物の蝶々だ〜」
「あ、こら待て!勝手に持ち場を離れんなって!ったく、五分とじっとしてねぇんだからこいつは!」
ふらふらと歩き出すベリクリーデを、急いで止めるジュリスである。
…うん。
「相変わらず、苦労してんな…ジュリス」
まぁ、二人共見張り番をするには、充分過ぎる戦力だけどさ。
ちょっと、ベリクリーデの性格に難があり過ぎるぞ。


