神殺しのクロノスタシスⅣ

「とっ、とにかくっ!」

アトラスを抑えながら、シュニィが叫んだ。

「『サンクチュアリ』の構成員は、全員っ、同行願います!あなたもです」

「無論、私は覚悟しています。抵抗する気もありませんので、好きなところに連れて行ってください」

そう言って、ミルツはシュニィの指示に従い、大人しく立ち上がった。

物分かりが良いのは結構だが、しかし柔順過ぎて逆に不気味だぞ。

「ミルツ…お前は何故…!」

珠蓮が、そんなミルツに食ってかかろうとしたが。

「珠蓮君、今は…」

シルナが、珠蓮を抑えた。

今は、そのときではない。

この場で議論を交わす訳にはいかない。

ここは一応、もう無害とはいえ、敵の本拠地なのだから。

他の構成員もいる。逃げられる前に、早いところ全員同行させた方が良い。

これ以上、ルーデュニア聖王国に、魔導師排斥運動の種を広める訳にはいかなかった。

「…っ」

珠蓮はもどかしそうにしながらも、シルナの言葉を聞き入れた。

…ごめんな。

ゆっくり話をさせてやりたかったんだが、そうも行かないようだ。

と、珠蓮はこんなに聞き分けが良いと言うのに。

「離してくれシュニィ。俺は、シュニィの仇を討つ!必ずや!」

「そんなことはしなくて良いですからっ!落ち着きなさいったら!」

…この聖魔騎士団団長は、なんとも聞き分けの悪い…。

さながら、駄々っ子であった。

娘のアイナの方が、まだ聞き分け良いんじゃないの?