リーダーを探す、とは言っても。
古い小さなビルの地下だ。そんなに時間はかからなかった。
それに、何より。
「…来ましたか。聖魔騎士団」
その人物は地下室の一番奥で、俺達が来るのを待っていたかのように、落ち着いて座っていた。
…こいつは…。
「…ミルツ…」
珠蓮が、そう呟いた。
え、ミルツ?
この女が、珠蓮の弟子だったミルツ・シュテインなのか。
じゃあ、やっぱり彼女は『サンクチュアリ』に…。
「…お前が『サンクチュアリ』のリーダーか?」
アトラスが、ゴツい大剣を向けて言った。
すると。
「私はリーダーではありません」
ミルツという珠蓮の弟子は、淡々と答えた。
声に抑揚はなく、怒っている風でも嘆いている風でもなかった。
これだけ敵が大挙して押し寄せているのに、怯えてもいない。
大したタマだよ。
「じゃあリーダーは何処だ」
「『サンクチュアリ』にリーダーなど存在しません。元々『サンクチュアリ』は、王都に潜む魔導師排斥論者のゴロツキ集団でしかありません。全く統率も取れていませんでした」
「…」
「それを、一時的に私がまとめ、力と目標を与え、指示しただけです」
…じゃあ、やっぱりお前がリーダーなんじゃないか。
「ですが、それももう終わりました」
何だと?
「『サンクチュアリ』は、今日で終わりです。私達にはもう、切り札も秘策もありません。つい先程まで、逃げる算段を議論していたところです。…私は、逃げるつもりはありませんでしたが」
…。
…随分と、話の分かる…。
潔い決断だな。
逃げる気がないのなら、こちらとしては助かるが…。
「…裏で新聞を発行して、配っていたのはお前か?」
あくまで、そこが気になるらしいアトラスである。
「私が、そう指示しました。国内の魔導師排斥運動を活発化させる為に」
「成程貴様だな!?シュニィを魔女と呼んだのは!シュニィの何処が魔女なんだ!この、シュニィの背中に輝く純白の羽根が見えないのか!?」
俺も見えねぇよ。
「アトラスさんっ…!いい加減にしなさい!」
「大丈夫だ任せてくれシュニィ!お前の仇は必ず俺が…」
「別に私は何もされてませんったら!良いから落ち着きなさい!」
う、うん。
駄目そうだな。
すると。
「…このような連中に」
ミルツが、吐き捨てるようにそう言った。
初めて、感情を込めた声を聞いた。
「このような連中に敗北したとは…。賢者の石というのも、大したことはありませんね」
彼女の言葉に、賢者の石の番人であり、そして彼女の師匠だった男は、怒りの声をあげた。
「…ミルツ…!お前は…」
「そう、あなたもです寿木珠蓮。所詮は、力に溺れた傲慢な魔導師でしかなかった、ということです」
…それは、一体どういう意味なんだ?
古い小さなビルの地下だ。そんなに時間はかからなかった。
それに、何より。
「…来ましたか。聖魔騎士団」
その人物は地下室の一番奥で、俺達が来るのを待っていたかのように、落ち着いて座っていた。
…こいつは…。
「…ミルツ…」
珠蓮が、そう呟いた。
え、ミルツ?
この女が、珠蓮の弟子だったミルツ・シュテインなのか。
じゃあ、やっぱり彼女は『サンクチュアリ』に…。
「…お前が『サンクチュアリ』のリーダーか?」
アトラスが、ゴツい大剣を向けて言った。
すると。
「私はリーダーではありません」
ミルツという珠蓮の弟子は、淡々と答えた。
声に抑揚はなく、怒っている風でも嘆いている風でもなかった。
これだけ敵が大挙して押し寄せているのに、怯えてもいない。
大したタマだよ。
「じゃあリーダーは何処だ」
「『サンクチュアリ』にリーダーなど存在しません。元々『サンクチュアリ』は、王都に潜む魔導師排斥論者のゴロツキ集団でしかありません。全く統率も取れていませんでした」
「…」
「それを、一時的に私がまとめ、力と目標を与え、指示しただけです」
…じゃあ、やっぱりお前がリーダーなんじゃないか。
「ですが、それももう終わりました」
何だと?
「『サンクチュアリ』は、今日で終わりです。私達にはもう、切り札も秘策もありません。つい先程まで、逃げる算段を議論していたところです。…私は、逃げるつもりはありませんでしたが」
…。
…随分と、話の分かる…。
潔い決断だな。
逃げる気がないのなら、こちらとしては助かるが…。
「…裏で新聞を発行して、配っていたのはお前か?」
あくまで、そこが気になるらしいアトラスである。
「私が、そう指示しました。国内の魔導師排斥運動を活発化させる為に」
「成程貴様だな!?シュニィを魔女と呼んだのは!シュニィの何処が魔女なんだ!この、シュニィの背中に輝く純白の羽根が見えないのか!?」
俺も見えねぇよ。
「アトラスさんっ…!いい加減にしなさい!」
「大丈夫だ任せてくれシュニィ!お前の仇は必ず俺が…」
「別に私は何もされてませんったら!良いから落ち着きなさい!」
う、うん。
駄目そうだな。
すると。
「…このような連中に」
ミルツが、吐き捨てるようにそう言った。
初めて、感情を込めた声を聞いた。
「このような連中に敗北したとは…。賢者の石というのも、大したことはありませんね」
彼女の言葉に、賢者の石の番人であり、そして彼女の師匠だった男は、怒りの声をあげた。
「…ミルツ…!お前は…」
「そう、あなたもです寿木珠蓮。所詮は、力に溺れた傲慢な魔導師でしかなかった、ということです」
…それは、一体どういう意味なんだ?


