「そのミルツという裏切り者は、魔導師排斥論者なんですか?」
と、これまた。
容赦のない口調で、容赦のないことを聞くイレースである。
お前らは、もうちょっとオブラートに包むということを知れ。
「え、でもミルツさんは魔導師なんでしょう?自分も魔導師なのに、魔導師排斥論者になるなんて…」
天音が、当然の疑問を口にするが。
意外とそうでもないんだよな。
「甘いですね。魔導師が魔導師排斥論者になることも、少数ではありますが、有り得ますよ」
…だな。
クュルナなんか、その良い例だ。
魔導師であるからといって、魔導師排斥論者にならない保証はない。
むしろ、魔法を使える立場であるからこそ、魔導師を否定する理由が見えることもあるのだ。
俺には分からない感覚だがな。
「ミルツが、魔導師排斥論者か…。考えたこともなかったが…ともすれば、その可能性はあるかもしれない」
珠蓮は、考え込むようにしてそう答えた。
ほう。
「そう思う根拠は?」
「彼女はよく、魔法とは何か、魔導師とは何かに関する書物を読んでいた。実際、魔導師とは何たるか、持論を語っていたこともある」
ヤバい匂いがするな。
「彼女がどのような考えを持っていたとしても、彼女が賢者の石の封印を忠実に守ってくれるなら、思想などどうでも良いと…そのような考えは人それぞれだと思っていた…」
「…」
難しい話題だもんな。魔導師の在り方云々については。
珠蓮の言う通り、こればかりは、同じ魔導師の中でも白熱する議論だ。
十人十色、人によって様々な考えがある。
どれかが正しい訳でもないし、かといって間違っている訳でもない。
だから、珠蓮も敢えて、ミルツの考えを肯定することも、否定することもなく聞き流していたのだろう。
下手に対立するようなことを言えば、軋轢を生むだけだから。
でも…今となっては、その情報に、怪しい気配しかしない。
「…ミルツが何を考えているのか、俺にはもう分からない」
珠蓮は、率直にそう認め。
そして。
「それでも、俺は彼女を止めなければならない。その義務がある」
決意を宿した目で、そう言った。
と、これまた。
容赦のない口調で、容赦のないことを聞くイレースである。
お前らは、もうちょっとオブラートに包むということを知れ。
「え、でもミルツさんは魔導師なんでしょう?自分も魔導師なのに、魔導師排斥論者になるなんて…」
天音が、当然の疑問を口にするが。
意外とそうでもないんだよな。
「甘いですね。魔導師が魔導師排斥論者になることも、少数ではありますが、有り得ますよ」
…だな。
クュルナなんか、その良い例だ。
魔導師であるからといって、魔導師排斥論者にならない保証はない。
むしろ、魔法を使える立場であるからこそ、魔導師を否定する理由が見えることもあるのだ。
俺には分からない感覚だがな。
「ミルツが、魔導師排斥論者か…。考えたこともなかったが…ともすれば、その可能性はあるかもしれない」
珠蓮は、考え込むようにしてそう答えた。
ほう。
「そう思う根拠は?」
「彼女はよく、魔法とは何か、魔導師とは何かに関する書物を読んでいた。実際、魔導師とは何たるか、持論を語っていたこともある」
ヤバい匂いがするな。
「彼女がどのような考えを持っていたとしても、彼女が賢者の石の封印を忠実に守ってくれるなら、思想などどうでも良いと…そのような考えは人それぞれだと思っていた…」
「…」
難しい話題だもんな。魔導師の在り方云々については。
珠蓮の言う通り、こればかりは、同じ魔導師の中でも白熱する議論だ。
十人十色、人によって様々な考えがある。
どれかが正しい訳でもないし、かといって間違っている訳でもない。
だから、珠蓮も敢えて、ミルツの考えを肯定することも、否定することもなく聞き流していたのだろう。
下手に対立するようなことを言えば、軋轢を生むだけだから。
でも…今となっては、その情報に、怪しい気配しかしない。
「…ミルツが何を考えているのか、俺にはもう分からない」
珠蓮は、率直にそう認め。
そして。
「それでも、俺は彼女を止めなければならない。その義務がある」
決意を宿した目で、そう言った。


