珠蓮は、口の悪い元暗殺者組に激昂することなく。
むしろ申し訳無さそうな顔で、自分の過失を認めた。
「信用出来ると思っていたが、それは上辺だけだった。封印の解き方を教えるなり、彼女はその情報を手に、俺の前から行方を消した」
…彼女…。
「彼女の本質を見抜くことが出来なかった。これは俺の失態だ」
「そんな…」
「彼女が何処に行ったのかは分からない。すぐに捜索に出て、辿り着いたのが…『サンクチュアリ』という組織だ。奴らが賢者の石を利用していた。だから恐らく…彼女も、『サンクチュアリ』にいるか、あるいは手を貸したのだと思う」
…『サンクチュアリ』が賢者の石を手にしているということは、そういうことだろうな。
あんたの弟子さんが、賢者の石の封印を解き。
『サンクチュアリ』に、賢者の石を献上したのだろう。
「でも…お弟子さんが『サンクチュアリ』に協力しているかは、まだ分からないよ。もしかしたら、『サンクチュアリ』に脅されているだけかもしれない」
天音が、彼らしい、人の良い解釈をした。
まぁ、その可能性もあるわな。
しかし。
「もしそうであったのだとしても、俺の弟子が賢者の石の封印を解いてしまったことに変わりはない」
そう言って。
珠蓮は、十個に揃った賢者の石の欠片を見下ろした。
「最初に『サンクチュアリ』の本拠地でお前達に会ったとき、お前達が『サンクチュアリ』の協力者だと思った。賢者の石を手にしていたものだから…」
…あぁ。
あのとき襲ってきたのは、それが理由か。
そりゃ仕方ない。『サンクチュアリ』の本拠地で、賢者の石を持っていたんだから。
「こいつが犯人か!」となるのも無理もない。
しかし、こうして謎解きをしてみると。
いかにあれが、馬鹿馬鹿しい勘違いによって生まれた戦闘かが分かるな。
お互い戦うときは、お互いの事情と素性を、ちゃんと把握してからやりましょうってな。
良い教訓になったよ。
「だが、むしろ『サンクチュアリ』によって悪用された賢者の石を、回収しに行ってくれていたんだな。本来なら俺がやるべきだったことを…」
そして、珠蓮は。
土下座せんばかりに、深々と頭を下げた。
「本当に申し訳ない。不肖の弟子の尻拭いをさせてしまった。それどころか、早合点してお前達を攻撃してしまった…。謝っても謝りきれない」
「ちょ、そ、そんな。大丈夫だよ。顔を上げて」
慌てて、シルナが珠蓮を止めた。
あまりに珠蓮が誠心誠意謝るものだから、こちらも戸惑ってしまう。
「全ては、俺の不徳の致すところ。迷惑をかけてしまって済まない…」
「そんな、大丈夫だから顔を上げて。ね?お願いだよ」
「だが、俺が…俺のせいで、こんな事態に…」
…ここにもいたか。
案外、多いのかもしれないな。
「何でもかんでも自分のせい病」の患者は。
「良いから。顔上げて、本当に。デルムトのお弟子さんに頭を下げられたくはないよ、私は」
シルナがそう言うと、珠蓮はハッとした。
「言ってみれば君は、私にとっては遠い親戚みたいなものだからね。血は繋がってなくても…。だから、頭を下げるのはやめて。顔を上げて。ね?」
そこまで言って、初めて珠蓮は、ゆっくりと顔を上げた。
まだ不本意そうではあったが、とりあえず顔は上げたな。
こんな事情を聞かされてしまったら。
俺達は誰も、珠蓮を責めることなんて出来ない。
むしろ申し訳無さそうな顔で、自分の過失を認めた。
「信用出来ると思っていたが、それは上辺だけだった。封印の解き方を教えるなり、彼女はその情報を手に、俺の前から行方を消した」
…彼女…。
「彼女の本質を見抜くことが出来なかった。これは俺の失態だ」
「そんな…」
「彼女が何処に行ったのかは分からない。すぐに捜索に出て、辿り着いたのが…『サンクチュアリ』という組織だ。奴らが賢者の石を利用していた。だから恐らく…彼女も、『サンクチュアリ』にいるか、あるいは手を貸したのだと思う」
…『サンクチュアリ』が賢者の石を手にしているということは、そういうことだろうな。
あんたの弟子さんが、賢者の石の封印を解き。
『サンクチュアリ』に、賢者の石を献上したのだろう。
「でも…お弟子さんが『サンクチュアリ』に協力しているかは、まだ分からないよ。もしかしたら、『サンクチュアリ』に脅されているだけかもしれない」
天音が、彼らしい、人の良い解釈をした。
まぁ、その可能性もあるわな。
しかし。
「もしそうであったのだとしても、俺の弟子が賢者の石の封印を解いてしまったことに変わりはない」
そう言って。
珠蓮は、十個に揃った賢者の石の欠片を見下ろした。
「最初に『サンクチュアリ』の本拠地でお前達に会ったとき、お前達が『サンクチュアリ』の協力者だと思った。賢者の石を手にしていたものだから…」
…あぁ。
あのとき襲ってきたのは、それが理由か。
そりゃ仕方ない。『サンクチュアリ』の本拠地で、賢者の石を持っていたんだから。
「こいつが犯人か!」となるのも無理もない。
しかし、こうして謎解きをしてみると。
いかにあれが、馬鹿馬鹿しい勘違いによって生まれた戦闘かが分かるな。
お互い戦うときは、お互いの事情と素性を、ちゃんと把握してからやりましょうってな。
良い教訓になったよ。
「だが、むしろ『サンクチュアリ』によって悪用された賢者の石を、回収しに行ってくれていたんだな。本来なら俺がやるべきだったことを…」
そして、珠蓮は。
土下座せんばかりに、深々と頭を下げた。
「本当に申し訳ない。不肖の弟子の尻拭いをさせてしまった。それどころか、早合点してお前達を攻撃してしまった…。謝っても謝りきれない」
「ちょ、そ、そんな。大丈夫だよ。顔を上げて」
慌てて、シルナが珠蓮を止めた。
あまりに珠蓮が誠心誠意謝るものだから、こちらも戸惑ってしまう。
「全ては、俺の不徳の致すところ。迷惑をかけてしまって済まない…」
「そんな、大丈夫だから顔を上げて。ね?お願いだよ」
「だが、俺が…俺のせいで、こんな事態に…」
…ここにもいたか。
案外、多いのかもしれないな。
「何でもかんでも自分のせい病」の患者は。
「良いから。顔上げて、本当に。デルムトのお弟子さんに頭を下げられたくはないよ、私は」
シルナがそう言うと、珠蓮はハッとした。
「言ってみれば君は、私にとっては遠い親戚みたいなものだからね。血は繋がってなくても…。だから、頭を下げるのはやめて。顔を上げて。ね?」
そこまで言って、初めて珠蓮は、ゆっくりと顔を上げた。
まだ不本意そうではあったが、とりあえず顔は上げたな。
こんな事情を聞かされてしまったら。
俺達は誰も、珠蓮を責めることなんて出来ない。


