大人しくしておけと、あれだけ、あれっだけ、大人しくしておけと言ったのに。

あの馬鹿、何処に行きやがった?

俺が渡した積み木が、床に並べられたまま放置されている。

片付けくらいしていけよ。何でそのままなんだ。

そして、何処に行ったんだ?

俺は行方不明の子供を探す親かよ。

ベリクリーデの居場所なんて、別に放っておけば良いのだが。

あいつは野放しにすると、絶対ろくな結果を生まないということを、俺はよく知っている。

故に、探さざるを得ない。

「くっそ…。あいつ、何処行ったんだ…!?」

GPSつけたい。あいつに迷子予防のGPS。

とにかく隊舎を一周回って調べ、

「じゅ、ジュリス隊長!良かった、お戻りでしたか!」

…来た。

半泣きの魔導師が一人、俺のもとに。

よく来てくれた。

そしてごめん。俺が野放しにしたせいで。

聞かなくても分かる。絶対、間違いなく、ベリクリーデ案件だ。

「どうした?」

「べ、ベリクリーデ隊長が!そ、外に…」

ほらな。案の定ベリクリーデのことで、俺に助けを求めに来たんだ。

完全に保護者じゃん俺。畜生。

「落ち着いて報告しろ。ベリクリーデがどうした?」

「そ、外で…ノコギリを持って…木を!木を伐採しようとしてるんです!」

…うん。

あいつのことだから、絶対また、突拍子もないことしてるんだろうなー、とは思ってたけど。

これまた、予想の斜め上が来たぞ。

「何でそんなことしてるんだ、あいつは…?」

「わ、分かりません…!このままでは、隊舎に植えてある桜の木が、伐採されてしまいます…!」

それは一大事だな。

「分かった、すぐ行く。場所は何処だ?」

「女性隊舎の裏です!」

「よし」

こうして俺はまたしても、奴の尻拭いに奔走するのだった。

…畜生。