神殺しのクロノスタシスⅣ

シュニィとジュリスが、聖魔騎士団に帰り。

イレースと天音が持ち場に戻り。

令月とすぐりが、将棋盤を持って窓から退室した後(ドアから出ていけ)。

「さーて、じゃあ僕も部屋に帰って、リリスとイチャイチャしてきますかー」

ナジュが、わざとらしく大きな声で言った。

お前…。そういうことを、いちいち口に出して言うな。

「ナジュ、あのな…」

文句の一つでも言ってやろう、と思ったら。

ナジュはすれ違いざま、シルナに見えないよう、俺の手首をガシッと掴んだ。

え?

思わず、驚いてナジュの顔を見ると。

さっきまでふざけていたとは思えない、真面目な顔つきで、ナジュは俺に目配せした。

ちらりと、シルナの方を見て。

それだけで、ナジュが俺に何を言いたいのか理解した。

…あぁ、やっぱりそうか。

シルナはシルナだもんな。そういう奴だよ。

「…分かったよ」

俺は、小声でナジュにそう言った。

後輩が、芝居を打ってまで教えてくれたんだからな。

ちゃんと応えるよ。

「それではお二人共、ご機嫌よう」

ナジュは、相変わらずへらへらした口調で言って、ぱっと俺の手首を離し。

そのまま、学院長室を出ていった。