しばし、一同が沈黙し。
パチ、パチ、と二人が将棋を打つ音だけが、室内に響いた。
そして。
「はぁ。まぁ、そいつらの言う通りではあるな」
沈黙を破ってそう言ったのは、ジュリスだった。
「ここで憶測ばかり重ねても仕方ない。とりあえず、現時点で分かることは共有したんだ。これ以上話し合っても、出てくる結論はない」
「…そうだね」
悔しいが、令月達の言う通りだ。
しかし。
「ですが…その謎の男が、また賢者の石を狙って、学院を攻めてきたら…」
「そのときは、僕と『八千歳』で捕まえるよ」
「罠を張って待ち伏せするのは、俺達の特技だもんね〜」
シュニィの問いに、令月達が物騒な返答。
お前らの罠は、マジで洒落にならん奴だからやめろ。
「まぁ、そんなに心配するな、シュニィ」
「…羽久さん…」
確かに、そいつが賢者の石を狙ってるなら、恐らくまた、俺達の前に現れるだろう。
でも、それは好機だ。
「最初に会ったときは、俺もシルナも、魔力をほぼ使い果たした状態だったから苦戦したが…。今は、万全の状態だ」
あのとき失った魔力は、ほぼ戻っている。
今挑んでこられたら、それは望むところというものだ。
それに。
「学院に攻めてくるなら、我々もいますからね」
と、ナジュが言った。
そう。あの会議室とは違って、我がイーニシュフェルト魔導学院には、頼れる教師陣がいる。
ナジュもいるし、イレースも天音もいる。
ついでに、そこで賭け将棋してる二人もな。
いくら賢者の石が強大な力を持っていようと、この強固な鉄壁を崩れる相手がいるとは、とても思えない。
「そうだね。私達なら大丈夫だよ、シュニィちゃん」
シルナも、落ち着いた声音でシュニィを励ました。
すると、シュニィは視線を彷徨わせ、言いにくそうに口を開いた。
「…それでも…その…生徒を、人質にされたら…」
…あぁ、成程。
シュニィが心配しているのは、それか。
いくら俺達が強力でも、生徒を人質にされれば、手も足も出せないのではないか。
そう危惧しているのか。
確かに、生徒を人質にされたら困るな。
…でも。
「大丈夫だ、シュニィ。心配するな」
『アメノミコト』のとき、散々経験したからな。
「敵が一人なら、いくら生徒を人質を取られても、どうとでもするよ」
「…そう、ですか…」
攻めてきたいなら、そうすれば良い。
迎え撃つまでのことだ。
そして、何故奴が賢者の石を集めているのかも、ついでに尋ねておこう。
「…分かりました。でも…何かあったら、すぐ聖魔騎士団を呼んでくださいね。いつでも、すぐに駆けつけますから」
心配性のシュニィは、そう念押しした。
「あぁ。いつも悪いな」
「いいえ。お願いですから、ちゃんと頼ってくださいね」
はいはい。
「じゃ…今日のところは、これでお開きにしようか」
と、いうシルナの一言で。
気の沈む会議は、おしまいとなった。
パチ、パチ、と二人が将棋を打つ音だけが、室内に響いた。
そして。
「はぁ。まぁ、そいつらの言う通りではあるな」
沈黙を破ってそう言ったのは、ジュリスだった。
「ここで憶測ばかり重ねても仕方ない。とりあえず、現時点で分かることは共有したんだ。これ以上話し合っても、出てくる結論はない」
「…そうだね」
悔しいが、令月達の言う通りだ。
しかし。
「ですが…その謎の男が、また賢者の石を狙って、学院を攻めてきたら…」
「そのときは、僕と『八千歳』で捕まえるよ」
「罠を張って待ち伏せするのは、俺達の特技だもんね〜」
シュニィの問いに、令月達が物騒な返答。
お前らの罠は、マジで洒落にならん奴だからやめろ。
「まぁ、そんなに心配するな、シュニィ」
「…羽久さん…」
確かに、そいつが賢者の石を狙ってるなら、恐らくまた、俺達の前に現れるだろう。
でも、それは好機だ。
「最初に会ったときは、俺もシルナも、魔力をほぼ使い果たした状態だったから苦戦したが…。今は、万全の状態だ」
あのとき失った魔力は、ほぼ戻っている。
今挑んでこられたら、それは望むところというものだ。
それに。
「学院に攻めてくるなら、我々もいますからね」
と、ナジュが言った。
そう。あの会議室とは違って、我がイーニシュフェルト魔導学院には、頼れる教師陣がいる。
ナジュもいるし、イレースも天音もいる。
ついでに、そこで賭け将棋してる二人もな。
いくら賢者の石が強大な力を持っていようと、この強固な鉄壁を崩れる相手がいるとは、とても思えない。
「そうだね。私達なら大丈夫だよ、シュニィちゃん」
シルナも、落ち着いた声音でシュニィを励ました。
すると、シュニィは視線を彷徨わせ、言いにくそうに口を開いた。
「…それでも…その…生徒を、人質にされたら…」
…あぁ、成程。
シュニィが心配しているのは、それか。
いくら俺達が強力でも、生徒を人質にされれば、手も足も出せないのではないか。
そう危惧しているのか。
確かに、生徒を人質にされたら困るな。
…でも。
「大丈夫だ、シュニィ。心配するな」
『アメノミコト』のとき、散々経験したからな。
「敵が一人なら、いくら生徒を人質を取られても、どうとでもするよ」
「…そう、ですか…」
攻めてきたいなら、そうすれば良い。
迎え撃つまでのことだ。
そして、何故奴が賢者の石を集めているのかも、ついでに尋ねておこう。
「…分かりました。でも…何かあったら、すぐ聖魔騎士団を呼んでくださいね。いつでも、すぐに駆けつけますから」
心配性のシュニィは、そう念押しした。
「あぁ。いつも悪いな」
「いいえ。お願いですから、ちゃんと頼ってくださいね」
はいはい。
「じゃ…今日のところは、これでお開きにしようか」
と、いうシルナの一言で。
気の沈む会議は、おしまいとなった。


