「じゃあ…賢者の石を託された、その外の人間という方は…?」
「族長の旧友だよ」
…それは意外な人物だな。
まさかそう来るとは。
「外部の者を嫌ってた癖に…そいつは族長とお友達だったのかよ」
「お友達…まぁ、そうだね。その人は、お友達兼、連絡係みたいなこともしてたんだよ」
「連絡係?」
「イーニシュフェルトの里は、外部とは関わりを避けてたから。外の人が里の内情を知らないのと同じく、里の人も、外の事情を知らなかったんだよ」
あ、そういうことか。
鎖国状態にあったんだもんな。向こうは里のことを知らないし、里の方は里の方で、外の情報を知らなかった。
で、里の者が知らない、外の情報を知らせてくれていたのが…その族長のお友達、ってことか。
言い方は悪いが、内通者みたいなものか?
「外の情報については、その人を通して伝えられてたんだ。彼だけが、里と外を繋ぐパイプ役と言うか…。出入り業者みたいなものでね」
ふーん…。そんな人がいたのか。
「彼自身も優れた魔導師で、かなり長生きの人だったから、族長と交友を持てたんだ。そうでなきゃ、里に出入りするなんて許されなかった」
相変わらず、頭の堅い連中が多かったんだな。
「族長の友人だということで、里の人も、彼を見ても追い出したりはしなかったけど…。煙たく思ってる人も少なくなかったよ。イーニシュフェルトの里は、里の中だけで生活を完結すべきだってね」
やっぱり頭堅い連中が多いな。
良いじゃないか、鎖国状態でも、一人くらい貿易相手がいたって。
「でも、私は彼を信頼していたよ。誠実な人だったし…。それに、族長の信頼を得ているのは確かだった。だから族長も、里が滅びる前、賢者の石の封印を彼に託したんだ」
「…成程ね…」
賢者の石の封印。シルナでさえ開けられないダイヤル錠のナンバーを知っているのは、そいつだけ、と。
そして、その族長のお友達以外は、鍵の開け方を知らない。
…と、ここまでの話を総合したら…。
「じゃあその男が犯人じゃないですか」
イレースが、身も蓋もなく、ばっさりと切り捨てるように言った。
容赦のない一撃である。
そりゃ皆思ったけど。同じことを思ったけども。
シルナも信頼していた人物だということで、口に出すのは憚れる…と思っていたところを。
情け容赦なくぶった切ったな。さすがイレースだ。
皆が言いにくいことを、よく言ってくれた。
「族長の旧友だよ」
…それは意外な人物だな。
まさかそう来るとは。
「外部の者を嫌ってた癖に…そいつは族長とお友達だったのかよ」
「お友達…まぁ、そうだね。その人は、お友達兼、連絡係みたいなこともしてたんだよ」
「連絡係?」
「イーニシュフェルトの里は、外部とは関わりを避けてたから。外の人が里の内情を知らないのと同じく、里の人も、外の事情を知らなかったんだよ」
あ、そういうことか。
鎖国状態にあったんだもんな。向こうは里のことを知らないし、里の方は里の方で、外の情報を知らなかった。
で、里の者が知らない、外の情報を知らせてくれていたのが…その族長のお友達、ってことか。
言い方は悪いが、内通者みたいなものか?
「外の情報については、その人を通して伝えられてたんだ。彼だけが、里と外を繋ぐパイプ役と言うか…。出入り業者みたいなものでね」
ふーん…。そんな人がいたのか。
「彼自身も優れた魔導師で、かなり長生きの人だったから、族長と交友を持てたんだ。そうでなきゃ、里に出入りするなんて許されなかった」
相変わらず、頭の堅い連中が多かったんだな。
「族長の友人だということで、里の人も、彼を見ても追い出したりはしなかったけど…。煙たく思ってる人も少なくなかったよ。イーニシュフェルトの里は、里の中だけで生活を完結すべきだってね」
やっぱり頭堅い連中が多いな。
良いじゃないか、鎖国状態でも、一人くらい貿易相手がいたって。
「でも、私は彼を信頼していたよ。誠実な人だったし…。それに、族長の信頼を得ているのは確かだった。だから族長も、里が滅びる前、賢者の石の封印を彼に託したんだ」
「…成程ね…」
賢者の石の封印。シルナでさえ開けられないダイヤル錠のナンバーを知っているのは、そいつだけ、と。
そして、その族長のお友達以外は、鍵の開け方を知らない。
…と、ここまでの話を総合したら…。
「じゃあその男が犯人じゃないですか」
イレースが、身も蓋もなく、ばっさりと切り捨てるように言った。
容赦のない一撃である。
そりゃ皆思ったけど。同じことを思ったけども。
シルナも信頼していた人物だということで、口に出すのは憚れる…と思っていたところを。
情け容赦なくぶった切ったな。さすがイレースだ。
皆が言いにくいことを、よく言ってくれた。


