いや、待て。
俺が封印を解けないのは無理もない。
俺や、シルナを除く俺達は、そもそも賢者の石の存在さえ、今日に至るまで知らなかったのだから。
知らないものの封印を解けと言われても、それは無理な話だ。
だから、俺達には出来ない。
でも、シルナは別だろう。
だってシルナは、この賢者の石を開発した、イーニシュフェルトの賢者の一人なんだろう?
開発者が封印を解けないって、それはどういうことだよ。
「そういう問題じゃないみたいですよ、羽久さん」
と、ナジュが言った。
そういう問題じゃない…?
「賢者の石の封印はね、解除者の実力がどうこうじゃないんだ。勿論、一定の実力は必要だけど…。解き方を知っていれば、一般の魔導師でも解ける」
何だって?
「例えるなら、ダイヤル式の鍵をかけられた金庫のようなものだよ」
と、シルナが言った。
「ダイヤルのナンバーを知っていれば、誰でも開けられる。でもダイヤルのナンバーを知らない者は、どうやっても金庫を開けられない。そういうこと」
「だが、その鍵を強引に壊してしまえば、金庫は開けられるんじゃないか?」
ジュリスが尋ねた。
その通りだ。
金庫の中に、宝石があると分かっているなら。
律儀にダイヤルナンバーを探さなくても、金庫ごと持ち去って、ぶち壊してやれば良い。
そうすれば、中身の宝石を取り出せる。
しかし。
「無理だよ。その金庫は、絶対に壊れない」
「全力で魔法をぶつけても、か?」
「うん。物理的な破壊は絶対に不可能。その金庫は、ダイヤル式の鍵を正しく合わせることでしか、絶対に開かないんだ」
…。
…シルナがそう断言するってことは、それが事実なんだろう。
まぁ、力ずくで抉じ開けることが出来るなら、話は早いもんな。
それが出来ないからこそ、今日に至るまで誰も、封印を解くことが出来なかったんだろうし。
「じゃあ…そのダイヤル錠のナンバーは、学院長先生も知らされてないんですね?」
「そう。私も知らないんだ。封印の解き方は」
そういうことか。
だから、シルナでさえ封印を開けられないのか。
ダイヤルのナンバーを、知らされていないから。
俺が封印を解けないのは無理もない。
俺や、シルナを除く俺達は、そもそも賢者の石の存在さえ、今日に至るまで知らなかったのだから。
知らないものの封印を解けと言われても、それは無理な話だ。
だから、俺達には出来ない。
でも、シルナは別だろう。
だってシルナは、この賢者の石を開発した、イーニシュフェルトの賢者の一人なんだろう?
開発者が封印を解けないって、それはどういうことだよ。
「そういう問題じゃないみたいですよ、羽久さん」
と、ナジュが言った。
そういう問題じゃない…?
「賢者の石の封印はね、解除者の実力がどうこうじゃないんだ。勿論、一定の実力は必要だけど…。解き方を知っていれば、一般の魔導師でも解ける」
何だって?
「例えるなら、ダイヤル式の鍵をかけられた金庫のようなものだよ」
と、シルナが言った。
「ダイヤルのナンバーを知っていれば、誰でも開けられる。でもダイヤルのナンバーを知らない者は、どうやっても金庫を開けられない。そういうこと」
「だが、その鍵を強引に壊してしまえば、金庫は開けられるんじゃないか?」
ジュリスが尋ねた。
その通りだ。
金庫の中に、宝石があると分かっているなら。
律儀にダイヤルナンバーを探さなくても、金庫ごと持ち去って、ぶち壊してやれば良い。
そうすれば、中身の宝石を取り出せる。
しかし。
「無理だよ。その金庫は、絶対に壊れない」
「全力で魔法をぶつけても、か?」
「うん。物理的な破壊は絶対に不可能。その金庫は、ダイヤル式の鍵を正しく合わせることでしか、絶対に開かないんだ」
…。
…シルナがそう断言するってことは、それが事実なんだろう。
まぁ、力ずくで抉じ開けることが出来るなら、話は早いもんな。
それが出来ないからこそ、今日に至るまで誰も、封印を解くことが出来なかったんだろうし。
「じゃあ…そのダイヤル錠のナンバーは、学院長先生も知らされてないんですね?」
「そう。私も知らないんだ。封印の解き方は」
そういうことか。
だから、シルナでさえ封印を開けられないのか。
ダイヤルのナンバーを、知らされていないから。


