大人達が深刻な話をするとき、必ず何処かに潜んで盗み聞きするのは、あいつらの変えられない悪癖だ。
聖魔騎士団魔導部隊の大隊長がやってきて、教師陣で会議となれば。
あいつらが聞き逃すはずがない。
さながらゴキブリのごとく、見えない何処に潜んでいるのは必至。
いくら盗み聞きやめろ、と言っても聞く耳を持たないんだから。
だったら、いっそ。
「お前らも会議に参加させてやるから、盗み聞きしてないで出てこい」
と、俺は言った。
「は、羽久。でも…」
子供に聞かせたくないシルナは、俺を止めようとしたが。
「しょうがないだろ。あいつら、絶対聞いてるに決まってるんだし…。だったら、いっそ堂々と聞かせた方が良い」
追い払っても追い払っても、そもそも何処に潜んでいるのか、俺達には分からないのだから。
どうせ聞かれているのは分かってるんだから、いっそ出てこい。
それに。
「会議の話次第では、あいつらまた、独断専行するぞ」
「う…」
思い出したらしいな、シルナ。
賢者の石の話を、あの二人抜きで話したとき。
あいつらは、何処かでその話を盗み聞きして。
じゃあ自分達で解決してしまおうぜ、とばかりに、自ら魔法陣に飛び込んでしまった。
この後、会議の話題が、賢者の石を持ち出したのはあいつじゃね?みたいな話になったら。
じゃあそいつ、自分達で始末してしまおうぜ、とばかりに、また脱走して暗殺してくるぞ。
あいつらならやる。
奴らの独断専行を止める為にも、いっそ会議の場に置いて、勝手に動かないよう、たっぷりと釘を刺しておく方が良い。
「いるのは分かってるんだぞ!早く出てこい」
何処にいるのかは知らないが、絶対いる。
コソコソするな。堂堂と出てこい。
すると。
「いや、でもね羽久。生徒であるあの子達に聞かせるのは…」
「別に良いんじゃねぇの?そいつらも、異次元世界に行ってきたんだろ?だったらもう当事者の一人だ。会議に参加する資格がある」
まだ渋っているシルナに、ジュリスがそう口を挟んだ。
確かにな。
既に首を突っ込んでいるのだから、今更退けと言っても納得しないだろう。
そんなに聞き分けの良い奴らなら、そもそもこれほど扱いに苦労してない。
「う、うーん…しょうがないかなぁ。でもなぁ、気が進ま、ぴぇっ!?」
ぴぇ?
シルナがいきなり奇怪な声をあげて、身体をオブジェのように硬直させた。
何だ…?
と、思ったら。
座っているシルナの足首を、床から伸びた手が掴んでいた。
ちょっとびっくりした。
一同が呆気に取られていると。
にゅっ、と二本目の手が伸びてきて、シルナの足をがっちりと掴んだ。
「ぴょわっ!?」
シルナ、奇声。
そして、シルナの足をロープ代わりに、にゅ〜っと、黒装束を着た人間が床から生えるように上半身を出した。
…誰あろう、件の元暗殺者の一人、黒月令月である。
「僕も会議に参加して良いって、本当?」
あまりに気色の悪い登場の仕方をしておいて。
令月は、きょとんとばかりに首を傾げていた。
聖魔騎士団魔導部隊の大隊長がやってきて、教師陣で会議となれば。
あいつらが聞き逃すはずがない。
さながらゴキブリのごとく、見えない何処に潜んでいるのは必至。
いくら盗み聞きやめろ、と言っても聞く耳を持たないんだから。
だったら、いっそ。
「お前らも会議に参加させてやるから、盗み聞きしてないで出てこい」
と、俺は言った。
「は、羽久。でも…」
子供に聞かせたくないシルナは、俺を止めようとしたが。
「しょうがないだろ。あいつら、絶対聞いてるに決まってるんだし…。だったら、いっそ堂々と聞かせた方が良い」
追い払っても追い払っても、そもそも何処に潜んでいるのか、俺達には分からないのだから。
どうせ聞かれているのは分かってるんだから、いっそ出てこい。
それに。
「会議の話次第では、あいつらまた、独断専行するぞ」
「う…」
思い出したらしいな、シルナ。
賢者の石の話を、あの二人抜きで話したとき。
あいつらは、何処かでその話を盗み聞きして。
じゃあ自分達で解決してしまおうぜ、とばかりに、自ら魔法陣に飛び込んでしまった。
この後、会議の話題が、賢者の石を持ち出したのはあいつじゃね?みたいな話になったら。
じゃあそいつ、自分達で始末してしまおうぜ、とばかりに、また脱走して暗殺してくるぞ。
あいつらならやる。
奴らの独断専行を止める為にも、いっそ会議の場に置いて、勝手に動かないよう、たっぷりと釘を刺しておく方が良い。
「いるのは分かってるんだぞ!早く出てこい」
何処にいるのかは知らないが、絶対いる。
コソコソするな。堂堂と出てこい。
すると。
「いや、でもね羽久。生徒であるあの子達に聞かせるのは…」
「別に良いんじゃねぇの?そいつらも、異次元世界に行ってきたんだろ?だったらもう当事者の一人だ。会議に参加する資格がある」
まだ渋っているシルナに、ジュリスがそう口を挟んだ。
確かにな。
既に首を突っ込んでいるのだから、今更退けと言っても納得しないだろう。
そんなに聞き分けの良い奴らなら、そもそもこれほど扱いに苦労してない。
「う、うーん…しょうがないかなぁ。でもなぁ、気が進ま、ぴぇっ!?」
ぴぇ?
シルナがいきなり奇怪な声をあげて、身体をオブジェのように硬直させた。
何だ…?
と、思ったら。
座っているシルナの足首を、床から伸びた手が掴んでいた。
ちょっとびっくりした。
一同が呆気に取られていると。
にゅっ、と二本目の手が伸びてきて、シルナの足をがっちりと掴んだ。
「ぴょわっ!?」
シルナ、奇声。
そして、シルナの足をロープ代わりに、にゅ〜っと、黒装束を着た人間が床から生えるように上半身を出した。
…誰あろう、件の元暗殺者の一人、黒月令月である。
「僕も会議に参加して良いって、本当?」
あまりに気色の悪い登場の仕方をしておいて。
令月は、きょとんとばかりに首を傾げていた。


