神殺しのクロノスタシスⅣ

そして。

無事に、異次元世界から全員が帰還し、安心したのは良いが。

皆無事で良かったね、で終わらせる訳にはいかない。

俺達が持ち帰ってきた、全ての賢者の石の欠片をシルナのもとに集め。

ここからは、答え合わせの時間だ。

その為に、俺達は四人が帰還した三日後のこの日。

聖魔騎士団魔導部隊から、二人の隊長を招き、会議を開くことになった。

「わざわざ、来てもらってごめんね、二人共」

「いいえ。先日も押しかけてきたのに、またお訪ねして申し訳ないです」

「まぁ、しょうがねぇだろ。そのブツをみだりに動かす訳にもいかねぇし」

聖魔騎士団を代表して来てくれたのは、この二人。

一人は、先日も訪ねてきたばかりの、聖魔騎士団魔導部隊隊長のシュニィ。

そしてもう一人は、件の賢者の石が作られた時代から生きていた、古参魔導師のジュリスである。

「ジュリス…。ベリクリーデは放っといて良いのか?」

「あぁ…。俺がいない間、積み木でもして遊んでろ、って積み木渡してきた」

そうか。

それでベリクリーデは満足しているのだろうか。

「何かやることを与えておかないと、あいつは絶対ろくなことをしない」

と、断言するジュリス。

…お前も相棒には苦労してんな。

ごめんな、わざわざ来てもらって。本当。

シュニィとジュリス以外に会議に参加しているのは、俺達イーニシュフェルト魔導学院の教師陣全員。

…以上が、会議に出ているメンバー…なのだが。

…。

「会議を始める前に、一つ良いか?」

俺は、敢えて挙手した。

「?どうかした?羽久」

「…」

どうかした、も何も。

「…お前ら!どうせどっかで聞いてんだろ!」

俺は、部屋の中でそう叫んだ。

絶対に、必ずと言って良い確率で、盗み聞きしているであろう元暗殺者生徒に向かって。