神殺しのクロノスタシスⅣ

まるで、瞬間移動でもしたかのように。

魔法陣に消えていた四人が、次々と会議室に現れた。

「吐月さん、キュレムさん、ルイーシュさん、無闇さん…!」

そんな、まさか。
 
夢ではないか、と思った。

しかし。

「おう、吐月!しっかりしろ、この軟弱者め!」

「いたた…。分かった分かった…。分かったから、頭の上で跳ねないで…」

倒れている吐月さんの頭の上で、契約魔であるベルフェゴールさんが、元気にぴょんぴょん跳ねていた。 
 
そして。
 
「よう、ルイーシュ…迎えに来てやったぞこん畜生…」

「あぁ、キュレムさん…同時に帰ってきてるので、迎えもクソもないですけどね…」

キュレムさんとルイーシュさんが、床に横たわったまま、互いに言葉を交わしている。

更に。

「だいじょぶー?手、貸してあげよっか?」

「必要ない…。大丈夫だ…」

ふわりと宙に浮かぶ月読さんに答えながら、無闇さんは誰の手も借りず、上体を起こしていた。

そのときには、私達も我に返っており。

私もクュルナさんもエリュティアさんも、慌てて四人に駆け寄っていた。

「大丈夫ですか?怪我はしてないですか」

「は、はい…。大丈夫です…」

クュルナさんは、吐月さんに。

「無理して起き上がらないでください。すぐ応援を呼びますから」

「問題ない…少し魔力を使い過ぎただけだ」

エリュティアさんは、無闇さんに。

そして、私は。

「キュレムさん、ルイーシュさん…!しっかりしてください」

「おー…。何だかシュニィの声が聞こえる気がする…。俺達助かったかもよ、ルイーシュ…」

「まだ分かりませんよ…。疲労のあまり、幻聴が聞こえているのかもしれません…」

「そうか…。それはヤベェな俺達…死ぬかも…」

「だ、大丈夫ですよ!幻聴ではありません!本物ですから!」

死を受け入れ始めている二人に、私は慌てて大声で呼びかけた。

「待っててください。すぐ、回復魔法をかけますから…」

私は床に跪き、キュレムさんとルイーシュさんに、回復魔法をかけた。

クュルナさんとエリュティアさんも、帰ってきたばかりの二人に、同じくそうしていた。

これで少しは、楽になるはず。