神殺しのクロノスタシスⅣ

「何だか、思い詰めてるみたいじゃないですか」

「それは…」

そんなことはありません…と、言いたいところだったけれど。

ナジュさんの前に、嘘や方便は無意味ですね。

何せ、心を丸裸にされているのだから。

「シュニィ…。気持ちは分からんこともないが、お前の責任じゃないんだ。あまり思い詰めるな」

「羽久さん…」

そう言われても…私…。

だって…最初に消えた四人は…まだ戻ってきていなくて。

後に魔法陣に飛び込んだ、令月さんやすぐりさん、学院長先生や羽久さん、ナジュさんは…先に戻ってきているのに…。

異次元世界は、この世界とは時間の流れが違うから、一概には言えないけれど…。

「大丈夫だよ、シュニィちゃん」

学院長先生に言われて、私はハッと顔を上げた。

「彼らなら、きっと大丈夫。必ず戻ってくる。私が保証する。だから、そんなに心配しないで」

「学院長先生…」

…そうですか。

…そうですよね。

だから私達は、いつも通りの日常を送っているくらいが、丁度良い。

そういうことですね?

「…分かりました」

なら私も、もうくよくよと思い悩むのはやめましょう。

仲間を信じて、待っていれば良い。

何と言っても、学院長先生が保証してくださったのだから。

「ありがとうございます、皆さん…」

少し元気が出ました。

私はソファから立ち上がって、ぺこりと一礼した。

気分も晴れたことだし、それに。

「…そろそろ、お暇させてもらいますね」

「え、もう帰っちゃうのシュニィちゃん」

「はい。そろそろ、見張り番交代の時間なので」

例の、魔法陣のあった『サンクチュアリ』の会議室の警護である。

今は、エリュティアさんとクュルナさんが見張りに当たってくれている。

「そっかぁ…。また遊びに来てね、シュニィちゃん」

「はい、そうさせてもらいます」

残念ながら、最初の拷問云々で時間を食ったせいで、異次元世界での話は出来なかったけど。

でも、それより大事なこと…気を強く持つことを…教えてもらいましたから。

私は、もうこれで大丈夫です。