さて。
小一時間ほどたって、学院長先生は回復した。
お口直しと言わんばかりに、チョコレートを貪っていて安心した。
良かったです。学院長先生、無事で。
「はー、死ぬかと思った…。…全くもう!二人共、あんな悪戯しちゃ駄目だっていつも、」
改めて、実行犯に説教をしようとした…そのときには。
部屋の中に、令月さんとすぐりさんはいなくなっていて。
開けっ放しの窓から入ってくる風で、カーテンがはらはらと揺れていた。
い、いつの間に…?
ついさっきまで、そこにいたはずでは…。
「逃げ足だけは速いんですよ、二人共」
と、イレースさんが説明してくれた。
「そ、そうなんですか…」
やるだけやったら、即撤退。
さすが元暗殺者、とは思いますが…私、彼らからも異次元世界の話、聞きたかったんですが…。
いなくなっちゃいましたね…。
「ナジュ、お前が計画の立案者なんだろ?」
「え?はい」
「少しは悪びれろよ…」
全く悪びれずに、一緒にチョコレートにぱくついてますもんね。
悪戯もここまで堂々とやられると、何も言えなくなると言いますか…。
いえ、私はちゃんと叱りますよ。自分の子なら。
「全く…来客の前で、みっともない姿を見せて…」
イレースさんは紅茶のティーカップを手に、はぁ、と溜め息をついた。
「済みませんね、見苦しい様をお見せして…」
「あ、いえそんな…」
慌てて否定しようと思ったけれど。
…ちょっと、否定するのに抵抗を覚えました。
すると。
「いやぁ、下手に取り繕うより、これくらいいつもの、馬鹿馬鹿しくも平和な日常を見せた方が…今の彼女には効果的なのでは?」
ナジュさんがそう言い、私はその言葉にドキリとさせられた。
何でそんなことを…と思ったが。
そうか、ナジュさんの読心魔法…。
…まさか。
「私の心を読んで…わざわざこんな芝居を…?」
「え?いや、半分は普通に面白いからやっただけですけど」
あ、そうなんですか。
でも、半分は…私を元気づける為、だったんですね。
小一時間ほどたって、学院長先生は回復した。
お口直しと言わんばかりに、チョコレートを貪っていて安心した。
良かったです。学院長先生、無事で。
「はー、死ぬかと思った…。…全くもう!二人共、あんな悪戯しちゃ駄目だっていつも、」
改めて、実行犯に説教をしようとした…そのときには。
部屋の中に、令月さんとすぐりさんはいなくなっていて。
開けっ放しの窓から入ってくる風で、カーテンがはらはらと揺れていた。
い、いつの間に…?
ついさっきまで、そこにいたはずでは…。
「逃げ足だけは速いんですよ、二人共」
と、イレースさんが説明してくれた。
「そ、そうなんですか…」
やるだけやったら、即撤退。
さすが元暗殺者、とは思いますが…私、彼らからも異次元世界の話、聞きたかったんですが…。
いなくなっちゃいましたね…。
「ナジュ、お前が計画の立案者なんだろ?」
「え?はい」
「少しは悪びれろよ…」
全く悪びれずに、一緒にチョコレートにぱくついてますもんね。
悪戯もここまで堂々とやられると、何も言えなくなると言いますか…。
いえ、私はちゃんと叱りますよ。自分の子なら。
「全く…来客の前で、みっともない姿を見せて…」
イレースさんは紅茶のティーカップを手に、はぁ、と溜め息をついた。
「済みませんね、見苦しい様をお見せして…」
「あ、いえそんな…」
慌てて否定しようと思ったけれど。
…ちょっと、否定するのに抵抗を覚えました。
すると。
「いやぁ、下手に取り繕うより、これくらいいつもの、馬鹿馬鹿しくも平和な日常を見せた方が…今の彼女には効果的なのでは?」
ナジュさんがそう言い、私はその言葉にドキリとさせられた。
何でそんなことを…と思ったが。
そうか、ナジュさんの読心魔法…。
…まさか。
「私の心を読んで…わざわざこんな芝居を…?」
「え?いや、半分は普通に面白いからやっただけですけど」
あ、そうなんですか。
でも、半分は…私を元気づける為、だったんですね。


