神殺しのクロノスタシスⅣ

そ、それはそれとして。

「その…学院長先生…」

「あわわわ、可哀想…。可哀想だからもう下ろしてあげて?ね?私に免じて」

学院長先生は私の呼びかけに気づかず、拷問官を止めようとした。

しかし。

「学院長程度で免罪符になると思ったら、大きな間違いです」

「その通りだ。今まで、こいつらの悪事を随分大目に見てやってたが…今回はもう、堪忍袋の緒が切れた」

拷問官イレースさんと羽久さんは、この辛辣な返事。

あ、悪事って…。

「危険だと分かってて、勝手に異次元世界に行きやがって…。帰ってこれたから良かったようなものの、帰ってこられなかったらどうするつもりだったんだ!?」

…とても怒られてますね。

まぁ、でも…気持ちは分からなくもない、かもしれない。

私だって、危ないから行っちゃ駄目、と言った場所にアイナが勝手に行ってしまったら…。

それは当然怒るし、それ以上に心配で心配で、何も手につかなくなるだろうから。

…かと言って、宙吊りにはしませんけど。

しかし、羽久さんに説教されている二人は。

「大丈夫だよ。『アメノミコト』本部に侵入するよりは、全然楽だったし」

「だよね〜。まー何とかなるって思ってたし。実際何とかなったし〜」

…全く反省している様子はないですね。

成程、羽久さんとイレースさんが怒る理由も、何となく分かります。

何とかなるの精神で動くのは、良くないと思います。

そんな、大人を舐めきった態度の二人を見て。

拷問官羽久さんとイレースさんは。

「…おいイレース。あと500回追加だ」

「分かりました」

あぁ…終わらない拷問…。

「あはは。ウケる〜」

ナジュさん。ウケている場合ではありません。

「あわわ〜…可哀想…」

「せ、せめてインターバルを…ちょっと休憩を挟んでから…」

学院長先生と天音さんは、二人に慈悲をかけようとしていたが。

「いっそお前ら、このまま永遠に宙吊りにしておいてやろうか」

「それは良い考えです。授業なら、宙吊り状態でも受けられますからね」

とんでもないことを考えている拷問官殿。

宙吊りで、授業は受けられません。

どうしたら良いんでしょう。部外者である私が口を挟むのは、差し出がましいでしょうか…。

でも、これ以上は見るに堪えない…と言いますか。

それよりも、このお二人も無事に帰還なさったのなら。

異次元世界がどんな様子だったか、聞きたいことがあるんですが…。

でも、下手に口を出したら、私も三人目の受刑者になりかねない…。

どう声をかけたら良いものか、と思っていたら。