酷い。
酷い…八つ当たりだ。
「…魔導師なんて、全員くたばっちまえば良いんだ」
別に、魔導師に何かされた訳じゃないのに。
魔導師が、彼の人生を狂わせた訳じゃないのに。
でも、行き場をなくした彼の憎しみの矛先は、力を持てる者に向いた。
そうするしかなかった。
そうでもしなければ。誰かを憎まなければ自分を保てないほどに、追い詰められていた。
不幸な自分の人生を、誰かのせいにしたかった。
そんなときに、魔導師の自己啓発本を読んで、そこに書かれた魔導師の詭弁に、憎しみが湧いた。
自分がこんなに苦労してるのに、魔導師は生まれつき魔導師というだけで、楽な人生を送っていると思うと。
憎くて憎くて、堪らなくなった。
そういうことなんだろう。
…気持ちは、分かる。
理解出来ない訳じゃない。
誰かを憎まなければ生きていけないほどに、追い詰められて苦しんでいる、この人の気持ちは…同情出来る。
魔導師が一般人にとって、そんな風に見られがちなのも分かる。
力を持たない彼らにとって、俺達はきっと、凄く贅沢に見えるのだろう。
金持ちには金持ちの苦労がある。でも金持ちの苦労なんて、貧乏人の苦労に比べれば楽なものだと。
そう言いたいのは分かる。
…けれど、一つだけ訂正したい。
「…全ての魔導師が、何の苦労もせず、幸せに暮らしてる訳じゃない」
さっきは、俺が君の人生を追体験したから。
今度は、君が俺の人生を追体験してきてくれないか。
そんな意地悪を考えてしまうほどに。
俺は、静かな怒りを込めて言った。
「力がある故に、死ぬほど追い詰められて…死ぬほど苦しんで…何千年も彷徨った者だっているんだ…」
恐ろしい魔物に取り憑かれ、人を殺すことを強要された。
大切な人を殺されて。故郷も家族も、自分の手で殺されて。脅されて。
脅されて、脅されて、脅されて…自分の意志を押し殺して、望まずに生きて。
「魔導師だって、君と同じ人間なんだ…。苦しみも、悲しみも、誰しも同じように感じてる…」
いっそ誰か自分を殺してくれと望みながら、でも誰一人、自分を殺せなくて。
だから命を奪った。何万、何億人を守る為に、何百人を殺して…。
罪悪感で押し潰されそうになりながら、それでも自殺することも出来なくて…。
君が魔導師を憎む気持ちは分かる。
でも、これだけは分かって欲しい。
「人間の力は平等じゃない。君が憎んでる通り…。でも、悲しみは平等だ。苦しみも痛みも、辛い気持ちを感じるその心は…誰しも皆、平等なんだよ」
酷い…八つ当たりだ。
「…魔導師なんて、全員くたばっちまえば良いんだ」
別に、魔導師に何かされた訳じゃないのに。
魔導師が、彼の人生を狂わせた訳じゃないのに。
でも、行き場をなくした彼の憎しみの矛先は、力を持てる者に向いた。
そうするしかなかった。
そうでもしなければ。誰かを憎まなければ自分を保てないほどに、追い詰められていた。
不幸な自分の人生を、誰かのせいにしたかった。
そんなときに、魔導師の自己啓発本を読んで、そこに書かれた魔導師の詭弁に、憎しみが湧いた。
自分がこんなに苦労してるのに、魔導師は生まれつき魔導師というだけで、楽な人生を送っていると思うと。
憎くて憎くて、堪らなくなった。
そういうことなんだろう。
…気持ちは、分かる。
理解出来ない訳じゃない。
誰かを憎まなければ生きていけないほどに、追い詰められて苦しんでいる、この人の気持ちは…同情出来る。
魔導師が一般人にとって、そんな風に見られがちなのも分かる。
力を持たない彼らにとって、俺達はきっと、凄く贅沢に見えるのだろう。
金持ちには金持ちの苦労がある。でも金持ちの苦労なんて、貧乏人の苦労に比べれば楽なものだと。
そう言いたいのは分かる。
…けれど、一つだけ訂正したい。
「…全ての魔導師が、何の苦労もせず、幸せに暮らしてる訳じゃない」
さっきは、俺が君の人生を追体験したから。
今度は、君が俺の人生を追体験してきてくれないか。
そんな意地悪を考えてしまうほどに。
俺は、静かな怒りを込めて言った。
「力がある故に、死ぬほど追い詰められて…死ぬほど苦しんで…何千年も彷徨った者だっているんだ…」
恐ろしい魔物に取り憑かれ、人を殺すことを強要された。
大切な人を殺されて。故郷も家族も、自分の手で殺されて。脅されて。
脅されて、脅されて、脅されて…自分の意志を押し殺して、望まずに生きて。
「魔導師だって、君と同じ人間なんだ…。苦しみも、悲しみも、誰しも同じように感じてる…」
いっそ誰か自分を殺してくれと望みながら、でも誰一人、自分を殺せなくて。
だから命を奪った。何万、何億人を守る為に、何百人を殺して…。
罪悪感で押し潰されそうになりながら、それでも自殺することも出来なくて…。
君が魔導師を憎む気持ちは分かる。
でも、これだけは分かって欲しい。
「人間の力は平等じゃない。君が憎んでる通り…。でも、悲しみは平等だ。苦しみも痛みも、辛い気持ちを感じるその心は…誰しも皆、平等なんだよ」

