神殺しのクロノスタシスⅣ

「『玉響』に何してるの…?何かの冗談?じゃないよね。今の『八千歳』…本気の殺気だった」

「…」

…そーだよ。

本気で、『玉響』を殺すつもりだったからね。

「どういうつもり?何で『玉響』を殺そうとするの?」

「…『八千代』…君こそ…」

俺はそこまで言って、無意識に膝をついた。

毒だ。

さっき『八千代』が投げたクナイに、毒が塗られていた。

身体に、力が入らない。

『玉響』は無傷。そこに『八千代』まで加勢されたんじゃ、俺に勝ち目は…まー、ないよね。

それどころか、毒のせいで意識が飛びそうだ。

「…君こそ…何で、『玉響』がいる世界に…平気で生きてるんだよ…?」

意識を失う前に、かろうじて俺は『八千代』に聞いた。

君なら知ってるでしょ。

『玉響』が、もうこの世にはいないんだってこと。

『玉響』がいるこの世界は、偽物なんだってことを。

しかし。

「何言ってるの…?僕達は、ずっと三人だったでしょ?『アメノミコト』から抜け出して、三人でイーニシュフェルト魔導学院に入学したんじゃないか」

「…あー…そう…。そーいうこと…」

君も、本物じゃないんだね。『八千代』。

三人で、『アメノミコト』を抜け出して。

三人で、イーニシュフェルト魔導学院に入学して。

三人で、園芸部に入って。

三人で生きて。

…それって、どんなに幸せな世界だよ?

「そーだったら…どんなに…どんなに…」

俺は、それ以上言えなかった。

『八千代』の毒で、意識を失った。

悔しさに滲んだ涙のあまり、視界が歪んでいた。