神殺しのクロノスタシスⅣ

よく分かったよ。この世界が何なのか。

本当に「素敵」なワンダーランドで嬉しいね。

まさか。

まさか、よりにもよって。

「『玉響』が生きている世界」を、俺に見せるなんて。

…この、くそったれが。

「え!?す、すぐり君!?」

驚いたツキナが、じょうろを取り落として立ち上がった。

でも、俺はそれに構わない。

この世界は、間違いなく異次元世界。

魔封じの石が作った、偽物の世界。

従ってこのツキナも、偽物だからね。

偽物に構っている暇はない。

俺は今すぐにでも、このクソみたいな世界を壊さなければならない。

『玉響』が生きているなんて。

彼が生きて、一緒にイーニシュフェルト魔導学院にいるなんて。

園芸部で、ツキナを交えて、一緒に活動してるなんて。

そんな世界は、絶対に有り得ないのだから。

終わる。終われ。終わってしまえ。こんな夢。

何度も夢に見て、そうだったら良いなと思い続けた、まさに夢のような世界。

でもそれは、夢でなくてはならないのだ。

決して現実のものになってはいけない。

そんな仮初めの世界に、何の価値もないのだから。

「や、『八千歳』…!なに、す…」

『玉響』が、苦しそうにもがいた。

どうでも良い。

「…君は、死んでなきゃならない存在なんだ…」

それが正しい世界の在り方。

それが本来の世界の在り方なんだ。

俺は、君を殺したことに罪悪感しか感じてないけど。

それでも、君が生きてちゃ駄目なんだよね。

「死んだ者が…生き返っちゃ駄目なんだ…!」

これ以上。

これ以上、何も知らない他人の分際で。

これ以上、『玉響』の死を穢すような行為を、俺は許さない。

…許さないよ。絶対に。

…しかし。

「…っ」

『玉響』の襟首を掴む俺の腕に。

グサリと、クナイが突き刺さった。

「…何してるの?『八千歳』」

「…『八千代』…」

クナイが投げられた方向には、『八千代』が立っていた。

真剣な顔つきで、今度は小太刀に手を回していた。