突如として、場面が変わった。
愉快な音楽を流すテーマパークから、悲壮な音楽が流れる場所。
…ここは、お葬式をする場所だ。
すぐに分かった。
周囲にいる人は皆、黒い喪服姿で。
数珠を手にして、沈鬱な面持ちで、花に囲まれた棺桶を見つめていた。
目に涙を浮かべている人さえいた。
そして。
その棺桶に縋り付くようにして、泣いている人がいた。
「あぁっ…あなた…あなた…!どうして…!嘘よ、どうしてこんなことに…!」
「…」
泣きじゃくっているのは、さっきまで笑顔で夕焼けを見つめていた、母親(仮)だった。
棺の中で冷たくなっているのは、さっきまで「今日は良い一日だ」と笑っていた、父親(仮)だった。
更に、棺はもう一つ。
父親に並ぶようにして、一回り小さな棺があった。
子供用の棺。
その中に眠っているのは、僕だった。
マネキン人形の、偽物の僕が眠っていた。
そしてそれを見ている本物の僕は、いつもの仕事着。
黒装束だった。
手には、使い慣れた小太刀を。
血の滴る小太刀を、握っていた。
…あぁ、そっか。
僕が殺したんだ。
この人達は、この親子は…僕がかつて、殺した人なんだ…。
僕が、淡々とこなし、罪悪感の一つも感じなかった、この「仕事」の裏で。
こんなにも嘆き、苦しみ。
突如として、幸福な日々を理不尽に奪われて。
泣いている人がいたんだってことを、僕に知らしめたかったんだ。
お前が、あの家の幸福を奪ったんだって…。
お前が、この幸せな親子を殺したせいで、残された母親は一生苦しみ続けなければならないんだって…。
…そう、教えたかったんだね。僕に。
一度だって、罪悪感を感じたことのない僕に。
…。
「…これを見せれば、僕が反省すると思ったの?」
僕は、姿を見せない誰かに向かって言った。
この世界を僕に見せた誰かに。
「自分の過去の過ちを悔いて、反省して懺悔して許しを請うて…罪悪感に押し潰されて、自殺するとでも思ったの?」
…普通の人なら、そうなんだろう。
これが普通の感性を持ち合わせた人なら、確かにそうするんだろう。
自分の犯した罪に耐えられず、心で許しを請うのだろう。
…でも。
僕は、暗殺者だから。
愉快な音楽を流すテーマパークから、悲壮な音楽が流れる場所。
…ここは、お葬式をする場所だ。
すぐに分かった。
周囲にいる人は皆、黒い喪服姿で。
数珠を手にして、沈鬱な面持ちで、花に囲まれた棺桶を見つめていた。
目に涙を浮かべている人さえいた。
そして。
その棺桶に縋り付くようにして、泣いている人がいた。
「あぁっ…あなた…あなた…!どうして…!嘘よ、どうしてこんなことに…!」
「…」
泣きじゃくっているのは、さっきまで笑顔で夕焼けを見つめていた、母親(仮)だった。
棺の中で冷たくなっているのは、さっきまで「今日は良い一日だ」と笑っていた、父親(仮)だった。
更に、棺はもう一つ。
父親に並ぶようにして、一回り小さな棺があった。
子供用の棺。
その中に眠っているのは、僕だった。
マネキン人形の、偽物の僕が眠っていた。
そしてそれを見ている本物の僕は、いつもの仕事着。
黒装束だった。
手には、使い慣れた小太刀を。
血の滴る小太刀を、握っていた。
…あぁ、そっか。
僕が殺したんだ。
この人達は、この親子は…僕がかつて、殺した人なんだ…。
僕が、淡々とこなし、罪悪感の一つも感じなかった、この「仕事」の裏で。
こんなにも嘆き、苦しみ。
突如として、幸福な日々を理不尽に奪われて。
泣いている人がいたんだってことを、僕に知らしめたかったんだ。
お前が、あの家の幸福を奪ったんだって…。
お前が、この幸せな親子を殺したせいで、残された母親は一生苦しみ続けなければならないんだって…。
…そう、教えたかったんだね。僕に。
一度だって、罪悪感を感じたことのない僕に。
…。
「…これを見せれば、僕が反省すると思ったの?」
僕は、姿を見せない誰かに向かって言った。
この世界を僕に見せた誰かに。
「自分の過去の過ちを悔いて、反省して懺悔して許しを請うて…罪悪感に押し潰されて、自殺するとでも思ったの?」
…普通の人なら、そうなんだろう。
これが普通の感性を持ち合わせた人なら、確かにそうするんだろう。
自分の犯した罪に耐えられず、心で許しを請うのだろう。
…でも。
僕は、暗殺者だから。


