遊園地は、とても華やかな場所だった。
あちこちに花壇があって、綺麗な花が咲き乱れ。
園内のスピーカーからは、絶えず楽しげな音楽が流れていた。
アトラクション…って言うのだろうか?ジェットコースターや、観覧車もあった。
どれも、知識として聞いたことはあっても、実物を見るのは初めてだ。
ましてや、乗ったことなんてあるはずがない。
まさに別世界だ。
本当に別世界なんだけど。
こういうところは、まず『八千歳』と一緒に来たかったな。
「さぁ、令。どれに乗りたい?まずどれから乗ろうか」
僕の手を繋いだ父親(仮)が、優しげに尋ねた。
…乗るものなんて、何でも良い。
「…何が面白い?何でも良い」
「そうかい?じゃあ…まずはメリーゴーラウンドから乗ろうか」
父親(仮)に促され、僕は人生初。
メリーゴーラウンドに搭乗。
見た目は凄く派手なのに、やっていることは、メッキを貼った馬に跨って、同じ場所をぐるぐる回ってるだけだった。
最初は興奮するけど、段々つまらなくなっていくタイプ。
次に乗ったのは、ジェットコースター。
これは楽しかった。スピードの緩急が癖になりそうだった。
何なら、もっと速くても良かった。
出来れば音速くらい。
それから、園内の売店でソフトクリームを食べた。
学院長からアイスクリームをもらうことはよくあったけど、いつもチョコ味ばかりだったので。
普通の、白いソフトクリームは、何だか新鮮な味だった。
でも、ソフトクリームが乗っているのは上の方だけで、下のコーンの中は空洞だったから、これは詐欺じゃないのかと思った。
優良誤認詐欺だ。
そして最後に、観覧車に乗った。
凄くのろのろと進んでて、正直退屈…だったのだが。
「あぁ、ほら見て、令」
母親(仮)が、ゴンドラの外を指差した。
その先には、丁度海が見えて。
夕陽が今まさに海に沈もうとしている、絶景の瞬間だった。
「凄く綺麗よね。絵になるわ」
「本当になぁ…。今日を締めくくるには丁度良い。今日は良い一日だったな」
と、父親(仮)も言った。
…良い一日…か。
少なくとも僕は、本物の両親と一緒に暮らしていたとき。
良い一日を過ごすなんて、そんな日は一日もなかった。
両親に売られてからも、ずっとそう。
『アメノミコト』にいたときに、心休まる日なんてなかった。
いつもいつも、厳しい訓練か、あるいは任務。
僕はいつも、任務で人を殺して…。
…そう…この父親(仮)みたいな、お金持ちの、由緒ある家の富豪を殺したり、
と、そのとき。
僕の中で、外れていたジグソーパズルのピースが、カチッ、と嵌まるような感覚がした。
あちこちに花壇があって、綺麗な花が咲き乱れ。
園内のスピーカーからは、絶えず楽しげな音楽が流れていた。
アトラクション…って言うのだろうか?ジェットコースターや、観覧車もあった。
どれも、知識として聞いたことはあっても、実物を見るのは初めてだ。
ましてや、乗ったことなんてあるはずがない。
まさに別世界だ。
本当に別世界なんだけど。
こういうところは、まず『八千歳』と一緒に来たかったな。
「さぁ、令。どれに乗りたい?まずどれから乗ろうか」
僕の手を繋いだ父親(仮)が、優しげに尋ねた。
…乗るものなんて、何でも良い。
「…何が面白い?何でも良い」
「そうかい?じゃあ…まずはメリーゴーラウンドから乗ろうか」
父親(仮)に促され、僕は人生初。
メリーゴーラウンドに搭乗。
見た目は凄く派手なのに、やっていることは、メッキを貼った馬に跨って、同じ場所をぐるぐる回ってるだけだった。
最初は興奮するけど、段々つまらなくなっていくタイプ。
次に乗ったのは、ジェットコースター。
これは楽しかった。スピードの緩急が癖になりそうだった。
何なら、もっと速くても良かった。
出来れば音速くらい。
それから、園内の売店でソフトクリームを食べた。
学院長からアイスクリームをもらうことはよくあったけど、いつもチョコ味ばかりだったので。
普通の、白いソフトクリームは、何だか新鮮な味だった。
でも、ソフトクリームが乗っているのは上の方だけで、下のコーンの中は空洞だったから、これは詐欺じゃないのかと思った。
優良誤認詐欺だ。
そして最後に、観覧車に乗った。
凄くのろのろと進んでて、正直退屈…だったのだが。
「あぁ、ほら見て、令」
母親(仮)が、ゴンドラの外を指差した。
その先には、丁度海が見えて。
夕陽が今まさに海に沈もうとしている、絶景の瞬間だった。
「凄く綺麗よね。絵になるわ」
「本当になぁ…。今日を締めくくるには丁度良い。今日は良い一日だったな」
と、父親(仮)も言った。
…良い一日…か。
少なくとも僕は、本物の両親と一緒に暮らしていたとき。
良い一日を過ごすなんて、そんな日は一日もなかった。
両親に売られてからも、ずっとそう。
『アメノミコト』にいたときに、心休まる日なんてなかった。
いつもいつも、厳しい訓練か、あるいは任務。
僕はいつも、任務で人を殺して…。
…そう…この父親(仮)みたいな、お金持ちの、由緒ある家の富豪を殺したり、
と、そのとき。
僕の中で、外れていたジグソーパズルのピースが、カチッ、と嵌まるような感覚がした。


