…ん?ってことは。

「羽久さんと学院長も、もう戻ってきてるんですね」

「うん、昨日戻ってきたよ。二人共ほとんど同時に帰ってきたみたい」

えー。

僕一日遅れじゃないですか。

まぁ、僕結構異次元世界で、のんびりしてましたからね…。

記憶、思い出すにも時間かかってたし…。

「二人共かなり魔力を消費してるから、大人しくしててって言ってるんだけど…。全然言うこと聞いてくれないよ」

と、天音さんは嘆くように言った。

ドクターストップを無視する人が多過ぎますね。

何なら、僕も無視したいところだったけど…。

「君はちゃんと大人しくしててね。魔力消費量、学院長達より多かったんだし。少なくとも三日は休んでること」

わー。しっかり予防線を張られた。

「気持ちを落ち着ける為にも、休む時間は必要。良い?勝手に動いちゃ駄目だからね」

「…分かりましたよ…」

僕も、精神世界でリリスに慰めてもらいたいですからね。

でも、その前に。

「賢者の石は?僕がいた異次元世界の賢者の石は、何処に?」

僕、帰ってきたとき、魔力使い過ぎて意識なかったんですよ。

気がついたら、学院に戻ってきていたけど。

「あぁ、大丈夫だよ。君は異次元世界を出て、魔法陣があった『サンクチュアリ』の本拠地に転送されて…。そこに倒れてたところを、警備してた聖魔騎士団の人に発見されたんだ」

うわー、想像しただけで間抜けな図。

「賢者の石は、君が手に握ってたらしいよ。回収して、今は学院長が保管してる」

「そうですか。じゃあ…これで、例の赤い水晶玉と合わせて、四個揃ったってことですね」

「あ…いや、そのことなんだけど…」

「…?」

顔を曇らせた、天音さんの心を読んで。

どうやら、僕らが想定していたよりも、事態はより複雑だということを知るのであった。