…。

…気がついたとき。

僕は、イーニシュフェルト魔導学院の医務室にいた。

「あ…気がついた?」

「…天音さん…」

ベッドの脇に、天音さんが座っていて。

僕に、回復魔法をかけているところだった。

その理由は簡単だ。

僕今、身体が言うことを聞かない。

魔力の消費が激し過ぎて、起き上がるのも辛い。

我ながら、生死を問わず魔力をぶち込んだらしい。

全く。不死身じゃなかったら死んでたな。

すると、案の定。

「魔力…使い過ぎだよ。君のことだから、後のことは考えずに、限界を越えて魔力使ったんでしょ」

バレてるし。

「回復魔法…僕には使わなくて良いですよ…。死ぬほど魔力使っても…僕は死にませんし…」

「関係ない。良いからじっとしてて」

有無を言わせない、ってことですか。

「…命を大事にしてって、何度も言ってるのに…」

「…」

命を…大事に…か。

さっき、大勢殺してきた僕に対する、皮肉ですかね?

…で、それはともかく。

「…う、くっ…」

「え、ちょ!起き上がっちゃ駄目だよ!」

僕は、言うことを聞かない身体に鞭打って。

無理矢理、上体を起こした。

慌てて天音さんは杖を置き、僕を止めようとしたが。

僕は、そんな天音さんの背中に腕を回した。

「えっ?」

「…天音さん」

あなたに、言わなければならないことがある。