それは、凄惨な血祭だった。
悲鳴と怒号が飛び交い、小屋の中で村人が逃げ回った。
だが、僕は逃げる者を許さない。
全員殺す。皆殺しだ。
あの日と同じ。
僕に罪悪感を感じさせるのが、この異次元世界の目的なんだろう?
なら僕がここから出るには、あの日の再現をしなければならない。
恐らくそれが、僕がこの世界から出る条件だ。
だから僕は、容赦なく両剣を振り回した。
あの日と同じように、虐殺を。
「…おっと」
「きゃぁぁぁ!」
僕は、腰を抜かして呆然としていた、例の幼女の襟首を掴んだ。
そういえばこの幼女には恩があるんだっけ。
涙を流しながら、幼女は僕を見つめた。
すると彼女の心の声が、僕の頭に流れ込んできた。
『お兄ちゃん…何で…何でこんなことを…?』
あれ?
ここって、魔法使えない世界のはずでは?
ちょっとノイズ混じりではあるが、読心魔法が使えたぞ。
まぁ、魔封じの世界と言えども、完璧じゃないって学院長言ってたし。
得意な魔法なら、多少は使えるのかしれない。
とはいえ、この世界において、読心魔法は大して意味がない。
だってこれは、一方的な虐殺。
相手の意志を知る必要などない。
…でも。
この子には、恩がある。
僕を、この村に招いてくれた恩が。
だから優しい僕が、彼女に答えをあげよう。
何でこんなことをするのか、って?
「そんなの、これが僕の本質だからに決まってるでしょう?」
せめて苦しませないよう、僕は両剣の一振りで、幼女の首を切断した。
はい、おしまい。
君はもう痛みを感じることはない。永遠に。
黄泉の国という、この世で最も幸せな世界に行ったのだ。
「…っ!!いやぁぁぁ!」
首から上をなくした、憐れな娘の亡骸を抱いて。
あの親切なご婦人が、悲痛な悲鳴を上げた。
「…知らない人に、あまり親切にしない方が良いですよ?」
僕は、彼女の来世の為にそう忠告してあげた。
来世なんてものが、本当にあるのかは知りませんけどね。
「こんなことに発展したりもするんですから」
「…!こ、この恩知らず…人殺し!人殺しっ…!」
「えぇ、そうです」
僕の代わりに自己紹介、ありがとうございます。
そう、僕は恩知らずの人殺しですよ。
それはもう救いようのない、悪鬼なんです。
「でも僕は、あなた達が羨ましい」
僕は、娘の亡骸を抱え、深い憎しみに満ちた目で。
死の直前まで、力一杯僕を睨みつける、ご婦人の視線を真っ直ぐに受け止めた。
彼女の心の中も、憎しみでいっぱいだった。
凄い目ですね。そんな目で見られるなんて。
そんな深い憎しみを、一身にぶつけられるなんて。
ここは、なんという酷い世界だろう。
でも僕は、あなたが羨ましい…。
ここにいる、全ての人が羨ましい。
だって。
「…死ねるんでしょう?あなた達は」
僕は死ねないんですよ。
…どれだけ、他人の死で心の欠落を埋めようとしても。
悲鳴と怒号が飛び交い、小屋の中で村人が逃げ回った。
だが、僕は逃げる者を許さない。
全員殺す。皆殺しだ。
あの日と同じ。
僕に罪悪感を感じさせるのが、この異次元世界の目的なんだろう?
なら僕がここから出るには、あの日の再現をしなければならない。
恐らくそれが、僕がこの世界から出る条件だ。
だから僕は、容赦なく両剣を振り回した。
あの日と同じように、虐殺を。
「…おっと」
「きゃぁぁぁ!」
僕は、腰を抜かして呆然としていた、例の幼女の襟首を掴んだ。
そういえばこの幼女には恩があるんだっけ。
涙を流しながら、幼女は僕を見つめた。
すると彼女の心の声が、僕の頭に流れ込んできた。
『お兄ちゃん…何で…何でこんなことを…?』
あれ?
ここって、魔法使えない世界のはずでは?
ちょっとノイズ混じりではあるが、読心魔法が使えたぞ。
まぁ、魔封じの世界と言えども、完璧じゃないって学院長言ってたし。
得意な魔法なら、多少は使えるのかしれない。
とはいえ、この世界において、読心魔法は大して意味がない。
だってこれは、一方的な虐殺。
相手の意志を知る必要などない。
…でも。
この子には、恩がある。
僕を、この村に招いてくれた恩が。
だから優しい僕が、彼女に答えをあげよう。
何でこんなことをするのか、って?
「そんなの、これが僕の本質だからに決まってるでしょう?」
せめて苦しませないよう、僕は両剣の一振りで、幼女の首を切断した。
はい、おしまい。
君はもう痛みを感じることはない。永遠に。
黄泉の国という、この世で最も幸せな世界に行ったのだ。
「…っ!!いやぁぁぁ!」
首から上をなくした、憐れな娘の亡骸を抱いて。
あの親切なご婦人が、悲痛な悲鳴を上げた。
「…知らない人に、あまり親切にしない方が良いですよ?」
僕は、彼女の来世の為にそう忠告してあげた。
来世なんてものが、本当にあるのかは知りませんけどね。
「こんなことに発展したりもするんですから」
「…!こ、この恩知らず…人殺し!人殺しっ…!」
「えぇ、そうです」
僕の代わりに自己紹介、ありがとうございます。
そう、僕は恩知らずの人殺しですよ。
それはもう救いようのない、悪鬼なんです。
「でも僕は、あなた達が羨ましい」
僕は、娘の亡骸を抱え、深い憎しみに満ちた目で。
死の直前まで、力一杯僕を睨みつける、ご婦人の視線を真っ直ぐに受け止めた。
彼女の心の中も、憎しみでいっぱいだった。
凄い目ですね。そんな目で見られるなんて。
そんな深い憎しみを、一身にぶつけられるなんて。
ここは、なんという酷い世界だろう。
でも僕は、あなたが羨ましい…。
ここにいる、全ての人が羨ましい。
だって。
「…死ねるんでしょう?あなた達は」
僕は死ねないんですよ。
…どれだけ、他人の死で心の欠落を埋めようとしても。


