日が暮れてきた頃。
審判のときがやって来た。
玄関の方から、人が入ってくる気配がして。
布団の傍でビーズを弄っていた幼女が、弾かれたように立ち上がった。
「お父さんだ!」
はい、死刑判決。
外暗くなってません?追い出すなら、せめて少しでも、日が昇っている間に追い出してください。
日が暮れてから野宿なんて、絶対良いことないですよ。
野生動物とかに襲われたらどうしよう?
でも、何故か何とかなりそうな気がしてる。
猛獣に襲われようが、毒蛇に噛まれようが、崖から墜落しようが。
僕って、そんなに楽観的な人間だったっけ…?
「お父さん!お帰りなさい!」
幼女は、たったと駆け足で玄関に向かった。
行っちゃった…。
僕の命運やいかに。
声は聞こえないが、多分今頃、ご婦人と幼女が説明していることだろう。
家の中に、謎の記憶喪失行き倒れ男を匿っている、と。
滞在を許可してもらえると良いのだが…。
内心びくびくしながら、判決が下されるのを待っていると。
足音が近づいてきて、襖が開けられた。
あ、やば。
体格のガッチリした、逞しいお父様と目が合ってしまった。
…ど…どうも。
こんばんは。お邪魔してます。
こちらから話しかけた方が良いのだろうか?厚かましいだろうか。
第一声出て行け、だったらどうしよう?
とりあえず、角の立たないように…。
「え、えーと…」
「身体は大丈夫か?」
は?
「…」
予想外の言葉に、僕はしばし言葉を失った。
多分、凄く間抜けな顔をしていたと思う。
「川に流されたなら、身体が冷えてるだろう。…風邪を引いたらいけない。火鉢でも用意してあげよう」
「は、はい…?」
険しい表情で、厳しい言葉が飛んでくるのかと思ったら。
火鉢出してもらいました。
それどころか。
「お粥を作ったんですよ。どうぞ、食べてください」
ご婦人が、湯気を立てるお皿を持ってきた。
えー…と…。
反応に困る奴。
「だ、大丈夫です…。全然お腹空いてないので…」
空腹を感じていないのは、事実だったのだが。
「駄目ですよ。さっきも食べなかったでしょう?ちゃんと食事をしないと、体力が持ちませんよ。さぁ」
半ば強引に、お皿を押し付けられてしまった。
「は、はぁ…ありがとうございます…」
何だか、火鉢出してもらって温かいし、何ならお粥までもらってるし。
僕のさっきまでの心配は、一体何だったんだ?
審判のときがやって来た。
玄関の方から、人が入ってくる気配がして。
布団の傍でビーズを弄っていた幼女が、弾かれたように立ち上がった。
「お父さんだ!」
はい、死刑判決。
外暗くなってません?追い出すなら、せめて少しでも、日が昇っている間に追い出してください。
日が暮れてから野宿なんて、絶対良いことないですよ。
野生動物とかに襲われたらどうしよう?
でも、何故か何とかなりそうな気がしてる。
猛獣に襲われようが、毒蛇に噛まれようが、崖から墜落しようが。
僕って、そんなに楽観的な人間だったっけ…?
「お父さん!お帰りなさい!」
幼女は、たったと駆け足で玄関に向かった。
行っちゃった…。
僕の命運やいかに。
声は聞こえないが、多分今頃、ご婦人と幼女が説明していることだろう。
家の中に、謎の記憶喪失行き倒れ男を匿っている、と。
滞在を許可してもらえると良いのだが…。
内心びくびくしながら、判決が下されるのを待っていると。
足音が近づいてきて、襖が開けられた。
あ、やば。
体格のガッチリした、逞しいお父様と目が合ってしまった。
…ど…どうも。
こんばんは。お邪魔してます。
こちらから話しかけた方が良いのだろうか?厚かましいだろうか。
第一声出て行け、だったらどうしよう?
とりあえず、角の立たないように…。
「え、えーと…」
「身体は大丈夫か?」
は?
「…」
予想外の言葉に、僕はしばし言葉を失った。
多分、凄く間抜けな顔をしていたと思う。
「川に流されたなら、身体が冷えてるだろう。…風邪を引いたらいけない。火鉢でも用意してあげよう」
「は、はい…?」
険しい表情で、厳しい言葉が飛んでくるのかと思ったら。
火鉢出してもらいました。
それどころか。
「お粥を作ったんですよ。どうぞ、食べてください」
ご婦人が、湯気を立てるお皿を持ってきた。
えー…と…。
反応に困る奴。
「だ、大丈夫です…。全然お腹空いてないので…」
空腹を感じていないのは、事実だったのだが。
「駄目ですよ。さっきも食べなかったでしょう?ちゃんと食事をしないと、体力が持ちませんよ。さぁ」
半ば強引に、お皿を押し付けられてしまった。
「は、はぁ…ありがとうございます…」
何だか、火鉢出してもらって温かいし、何ならお粥までもらってるし。
僕のさっきまでの心配は、一体何だったんだ?


