神殺しのクロノスタシスⅣ

「信じてもらえないかもしれないですけど…本当なんです…。本当に覚えてなくて…」

「…そうなんですね」

…やっぱり、怪しまれてるか…?

村から出ていってくれ、とか言われるのだろうか?

追い出されるのは別に構わないけど、もう少し、何かしら情報を…。

「…まぁ、それなら仕方ないですね」

…ん?

ご婦人は、にこりと笑顔になった。

「多分、山の上の集落からいらっしゃったんでしょうけど…。今はそれより、身体を治す方が先ですから」

「…」

「大したもてなしも出来ませんけれど…。身体が治って記憶が戻るまで、ゆっくりしていってくださいな」

…マジで?

本当に?良いんですか?そんな軽いノリで。

しかも、こんな小さな子がいる家に。

明らかにおかしい人物を、平気で置いて良いんですか。

それとも、内心「こいつすぐ追い出してやる」と思いながら、笑顔を取り繕ってるだけか?

あぁ、この人が何考えてるのか分からない。分からないのがもどかしい。

何でこんな気持ちになるんだ?

「お茶でも飲みますか?それとも食事にしますか?」

「あ、いえ…結構です…」

「そうですか?何か必要なものがあったら、呼んでくださいね」

…にこやかなご婦人である。

何だろう。その笑顔の裏に何かあるんじゃないかと、疑ってしまうのは。

僕の心が汚れているからなんだろうか?

いや、僕の心は澄み切ってるはずだ。きっと。うん。