…とうとう、私に向かって言ったね。

さっきまでも、ずっと私に言われてるようなものだったけれど。

観客は、私しかいないんだし。

「お前が生きているせいで、多くの人が犠牲になった。傷ついた。お前が生きているせいで、これからも多くの人が傷つき、犠牲になる」

「…」

「誰もお前を許しはしない。潔く死んで、地獄に堕ちろ」

「…そうだね」

私は、観客席から立ち上がった。

今日の演目は、これで終了だね。

「君の言う通りだ…。誰も私を許しはしないし、許して欲しいとも思ってない…。いつだって、誰かの怨嗟の声が聞こえているよ」

何でお前だけ生きてるんだ、お前も早く死んでしまえ、ってね。

お前だけは絶対に許さない、何でのうのうとお前だけ生きてるんだ、って。

ずっと聞こえてるよ。

「ならば、何故まだ…」

「私自身は、どうだって良いんだ」

私は、舞台に設置されたステージ階段を上りながら言った。

「地獄に堕ちようが…業火で焼かれようが…その覚悟はとっくに出来てる。彼らを裏切ると決めたときからずっと…。私自身のことなんて、どうだって良いんだ…」

「…」

「誰も私を許さない…それは仕方ない。私が誤った選択をしたのは事実だ。こうして開き直っているのも事実…。皆私を憎んでるだろう。憎んでくれて構わない」

私を憎んで、少しでも彼らの気持ちが楽になるなら。

思う存分、私を憎めば良い。全ては私の責任なのだから。

誤った選択をした、私の責任。

私を許さなくて良い。私の犯した罪を…許す必要なんてない。

許すべきではないのだ。

「…でも」

これだけは、言わせて欲しい。