「如何だったでしょうか、皆様」

羽久もどきは、一人しかいない客席に向かって言った。

「ここまで、シルナ・エインリーの人生遍歴と共に、彼のせいで心身共に傷つけられた人々の声をご紹介しました。それらを聞いて皆様、どんな気持ちになりましたか?」

…。

…まぁ、楽しくはないよね。当たり前だけど。

こんな劇場があったら、あっという間に潰れてると思うよ。

「最後に僭越ながら…私自身の体験を、聞いて頂けますでしょうか」

…何?

「私もまた、シルナ・エインリーによって人生を狂わされた一人…。そして、誰よりも長く、彼の傍にいた者として、証言させて頂きたいと思います」

…そうか。

そういうことか。

ここまでのは、全て前座。

「一言で申し上げます…。シルナ・エインリーは、人類史上最低の人間です」

羽久もどきによる、これが…真打ちか。