予想していたことではあったが、その画用紙に描かれていたのは、後輩の似顔絵だった。
年相応に稚拙な絵だが、素人目から見ても、なかなかよく描けている。
日がな一日、することもなく、クレヨンを握ってスケッチブックに向かってばかりいるから。
嫌でも上手くなるのだろうと思った。
「わぁ、凄い。上手だなぁ。ありがとう」
後輩は、大袈裟なまでに驚いて、そして笑顔で帽子の上から少女の頭を撫でた。
「凄く上手に描けてるよ。これ、持って帰って家に飾っておくよ」
「えへへ…」
褒められて、少女は心から嬉しそうだった。
こんな少女でも、笑うことが出来るんだな。
「大きいお兄さんには?描いてあげなかったのか?」
「描いてますよ。ほら」
少女は、二枚目の画用紙を取り出した。
あぁ、昼間に描いていた奴か。
「はい、こっちは大きいお兄さんに」
「ありがとう。くれるのか?」
「はい!勿論です」
俺は自分の意志ではなく、身体が勝手に動くままに、少女の手渡す画用紙を受け取っていた。
正直、自分の似顔絵などに興味はないのだが。
身体が勝手に動くのだから、従うしかない。
画用紙を開いてみると、俺の似顔絵が描いてあった。
こちらも、なかなか上手に描けている。
「上手に描けてるじゃないか。頑張ったな」
「えへへ。自信作なんですよ」
それはそれは。
すると。
「お兄ちゃんには、描いてあげないのか?」
後輩が、少女にそう尋ねた。
年相応に稚拙な絵だが、素人目から見ても、なかなかよく描けている。
日がな一日、することもなく、クレヨンを握ってスケッチブックに向かってばかりいるから。
嫌でも上手くなるのだろうと思った。
「わぁ、凄い。上手だなぁ。ありがとう」
後輩は、大袈裟なまでに驚いて、そして笑顔で帽子の上から少女の頭を撫でた。
「凄く上手に描けてるよ。これ、持って帰って家に飾っておくよ」
「えへへ…」
褒められて、少女は心から嬉しそうだった。
こんな少女でも、笑うことが出来るんだな。
「大きいお兄さんには?描いてあげなかったのか?」
「描いてますよ。ほら」
少女は、二枚目の画用紙を取り出した。
あぁ、昼間に描いていた奴か。
「はい、こっちは大きいお兄さんに」
「ありがとう。くれるのか?」
「はい!勿論です」
俺は自分の意志ではなく、身体が勝手に動くままに、少女の手渡す画用紙を受け取っていた。
正直、自分の似顔絵などに興味はないのだが。
身体が勝手に動くのだから、従うしかない。
画用紙を開いてみると、俺の似顔絵が描いてあった。
こちらも、なかなか上手に描けている。
「上手に描けてるじゃないか。頑張ったな」
「えへへ。自信作なんですよ」
それはそれは。
すると。
「お兄ちゃんには、描いてあげないのか?」
後輩が、少女にそう尋ねた。


