…ようやくミーティングが終わり。
俺は、会議室から出た。
俺には何の記憶もないのに、何故かこの身体は、この建物を知っていた。
記憶にないのに、分かるのだ。
この奥に行ったら診療室、更に向こうはエレベーター、ここは2階のミーティング室…といった風に。
全く記憶はないはずなんだが…。
誰かの記憶を追体験しているのでなければ、俺は記憶喪失にでもなっているのか…?
…いや。
それは違う。
例え記憶喪失だったのだとしても、俺はこんなところで、こんなことをしている暇はないはずだ。
俺には、やるべきことが…。
しかし。
「先輩」
先程の後輩が、俺に声をかけてきた。
俺の身体は、勝手にその声に振り向いていた。
「どうした?」
「いや…。今日、お互い夜勤だろう?…良かったら、一緒にあの子の部屋に、遊びに行かないか?」
と、彼は俺に言った。
あの子の部屋…というのが誰のことか、
俺は分からなかったが、この身体は覚えていた。
「そうだな…。でも行くなら、本人に一度、尋ねてから行こう。疲れているなら休ませてやらないといけない」
「あぁ、分かったよ」
駄目だな。
勝手に喋ってる。俺の意志ではないのに。
「先輩、行ってきてもらえないか?俺、この後○○先生の診療に付き添わなきゃいけなくて」
「そうか。俺は巡回だから、ついでにあの子の部屋に行ってくる」
またしても、勝手に口が動いている。
看護師の知識も経験もないのに、一端にも巡回とは。
何も覚えていない俺が患者を見て、大丈夫なのだろうかと、ふと不安になる。
俺には看護に関する知識はないのだが…。
これもまた、身体が勝手に動いてくれるのだろうか?
俺は、会議室から出た。
俺には何の記憶もないのに、何故かこの身体は、この建物を知っていた。
記憶にないのに、分かるのだ。
この奥に行ったら診療室、更に向こうはエレベーター、ここは2階のミーティング室…といった風に。
全く記憶はないはずなんだが…。
誰かの記憶を追体験しているのでなければ、俺は記憶喪失にでもなっているのか…?
…いや。
それは違う。
例え記憶喪失だったのだとしても、俺はこんなところで、こんなことをしている暇はないはずだ。
俺には、やるべきことが…。
しかし。
「先輩」
先程の後輩が、俺に声をかけてきた。
俺の身体は、勝手にその声に振り向いていた。
「どうした?」
「いや…。今日、お互い夜勤だろう?…良かったら、一緒にあの子の部屋に、遊びに行かないか?」
と、彼は俺に言った。
あの子の部屋…というのが誰のことか、
俺は分からなかったが、この身体は覚えていた。
「そうだな…。でも行くなら、本人に一度、尋ねてから行こう。疲れているなら休ませてやらないといけない」
「あぁ、分かったよ」
駄目だな。
勝手に喋ってる。俺の意志ではないのに。
「先輩、行ってきてもらえないか?俺、この後○○先生の診療に付き添わなきゃいけなくて」
「そうか。俺は巡回だから、ついでにあの子の部屋に行ってくる」
またしても、勝手に口が動いている。
看護師の知識も経験もないのに、一端にも巡回とは。
何も覚えていない俺が患者を見て、大丈夫なのだろうかと、ふと不安になる。
俺には看護に関する知識はないのだが…。
これもまた、身体が勝手に動いてくれるのだろうか?


