神殺しのクロノスタシスⅣ

「…」

ぼんやりと、少しずつ意識が覚醒していく。

目の前に、白い壁と、白い服を着た人々が円になって並んでいた。

…ここは…何処だ?

俺は、ぼんやりとした頭でそう考えた。

知らない場所にいる…それは確かだ。

俺は何をしていたんだったか。

でも、知らない場所にいるということは…俺はきっと、また『死火』を守る為に時空を移動して…。

…。

…俺は今、何を考えた?

思考が追いつかない。俺は…。

「先輩、どうしたんだ?ぼんやりして」

誰かが、俺の顔を覗き込んで言った。

せん…ぱい?

それは俺のことか?

俺の方をガン見して言ってるのだから、もしかしなくても、多分俺のことだ。

ここが何処なのか、俺が何をしているのかは知らないが。

しかし、俺は多分今、何処かの世界に転移してきたばかりなのだろう。

そしてここで、何かしらの「役目」を与えられている。

それが、先程から彼が呼ぶ「先輩」の役目なんだろう。

「あぁ…大丈夫だ。済まない」

俺は、曖昧に頷いてそう返した。

状況はよく分からないが、周囲に不審に思われるのは避けた方が良い。

「しっかりしてくれよ。大事なミーティングなんだから」

と、俺を先輩呼びした彼は言った。

彼が俺を先輩と呼ぶなら、彼は俺の後輩なんだろうな。

しかし…ミーティング?

よく見たら、確かにさっきから、周囲に円を書くように白衣を着た人々が並んでいる。

この人達と、ミーティングをしていたのか?

俺がぼんやりとしていたのが不服だったのか、咎めるような視線を向けている。

そんな目で見られても、俺にも状況が何が何だか…。

俺は…何をしに、何の為にここに来たんだ?

俺は頭の中で、細い記憶の糸を手繰り始めた。