神殺しのクロノスタシスⅣ

これをなぁ、この黒歴史ノートを。

家族の前に叩きつけて、自分の思いを全部吐き出し。

それで家族が、「こんなに思い詰めていたなんて」と気づいて、悔い改め、改心してくれれば良いんだけど。

そういう家族なら良いんだけど。

でも、そういう家族なら、そもそもこんな風になるまで追い詰めたりはしないんですよね。

だから、いかに家族に訴えようとも、また馬鹿にされて鼻で笑われるのがオチ。

そんなの、言ってみなければ分からないじゃないか、って?

馬鹿ですね。言わなくても分かりますよ。

こういう家庭が、こういう家族が、どんな人種だか…俺は知ってるから。

こういう家庭に、期待するのは無駄だってことも。

「はー…」

と、俺は背もたれに背を預けて、宙を仰いだ。

本当、嫌になりますよね。

元々、俺に労働意欲なんて欠片もないのに。

でも今回ばかりは、動かざること山の如しの俺も、動かなきゃならない。

酷い話だと思いません?

誰の身体に憑依してようと、誰の記憶の追体験をさせられているんだろうと。

そんなことは、俺にとってはどうでも良い。

この人が、こんな黒歴史ノートを生成するほど追い詰められていることも。

そりゃまぁ、気の毒だなーとは思いますけど。

世の中には、様々な黒歴史を作ってる人もいることだし。

別にこの人だけ特別って訳じゃない。

この人自身は、自分を世界で一番不幸!と思ってるみたいですけどね。

それは思い上がりって奴ですよ。

こんなちっぽけな少年の、大きな悩みなんかよりも…。

俺には、もっと心配なことがある。

「…どうしたもんですかね」

と、呟いてはみたものの。

俺のやるべきことなんて、既に決まっている。