神殺しのクロノスタシスⅣ

最悪の雰囲気で夕食の席を立ち。

俺は、自分の部屋に戻った。

見覚えはないのに、ここが自分の部屋だと分かるのだ。

隣にあるお兄さんの部屋は、もう扉からして豪華で、広そうなのに。

俺の部屋は、さして広くもなく、家具も少なかった。

かろうじて、本棚だけは三つも並んでいた。

本棚には、テキストや問題集も多く並んでいたけれど。

本棚の半分くらいは、漫画やゲームなんかも並んでいて。

勉強熱心なんだが、そうじゃないんだか、何だか中途半端な本棚だった。

すると。

俺は部屋の中にゲームを見つけるなり、ベッドに寝そべり。

携帯ゲーム機の電源をつけて、遊び始めた。

え、何やってんの俺の身体。

晩飯食ってすぐにやることが、ゲームですか。

しかも、格闘ゲーム。

一体、どうやったらそんな思考になるんだ…と思っていたら。

俺は無意識に、CPUを相手に、格闘ゲームを開始。

CPUのレベルを1にして、自キャラでCPUの敵を、ボコボコにしていた。

しかも、

「くそっ。死ねっ、死ねっ。皆死ねっ」

敵キャラをボコボコにしながら、そう口走っていた。

あっ、成程。

ヤケクソになって、CPUをフルボッコにすることで憂さ晴らししようという、そういう心理ですね。

分かります。

家族を殴り飛ばす訳には行きませんからね。代わりに、ゲームで敵をボコることで、ストレスを発散するんですね。

その気持ちは、理解出来ますが。

しかし、そういうストレス発散法は、やめた方が良いのではないかと思います。

とてもじゃないけど、健全とは言い難い。

家族に言いたいことを、代わりに拳にして、仮想の世界でぶつけ回してるってことですからね。

しかもこんなやり方じゃ、当然ながら、根本的な解決にはならない。

でも、それ以外に方法が見つからないんでしょうね。

何だか、気の毒になってきた。

結局、この身体の持ち主の思うがまま、30分ほど、無意味に仮想世界で八つ当たりした後。

虚しくなってきたのか、いきなりゲーム機の電源を切って、ベッドの上に放り投げた。

ヤケになってるんですね、分かります。

しばし、天井を見上げた俺は。

そのまま不貞寝するのかな、と思ったら。

むくっ、と起き上がった。

おっ?