神殺しのクロノスタシスⅣ

全て、この兄の存在のせいなのだ。

兄は優秀(自称)な魔導師様なのに、魔法の使えない凡人…どころか。

人並みの学力すらない、要するに馬鹿。

だから、塾でも、家でも馬鹿にされる。

酷い言葉をかけられ、家族としての扱いも悪い。

俺だったら、思いっきり口汚く言い返していたところだが。

この身体の持ち主は、それが出来なかった。

まぁ、そりゃ出来ないでしょうね。

魔法の使えない自分が、どんなに喚こうが。

負け犬の遠吠え、単なる言い訳に過ぎない。

それに、俺もそれなりに歳を取ってるから、今はいくらでも言い返す言葉が思いつくけれど。

この身体、本来の持ち主は、十代半ばのティーンエイジャーなんでしょう?

しかも、親に養われている身分で。

何を言われても、押し黙って、侮蔑に耐え忍ぶしかない。

いくら反抗したくたって、この家から出ていくことは出来ないのだから。

未成年なんだし。

全く、酷い教育だ。

こんなこと言われながら育てば、誰だってグレますよ。

俺なんて、まともに育てられたとしてもグレていたくらい、生まれたときから性格ねじ曲がってたのに。

この身体の持ち主は、ここで逆ギレして親に殴りかからない辺り。

優しい、良い性格してますよ。

これが俺だったら、多分両親をボコりまくって、塾どころか学校にも行かず、深夜の駅前で煙草吹かしていたと思う。

俺、あれなんで。ほら。

生まれたときから反抗期、って奴なんで。

しかしまぁ、子は親を選べないし、それは逆もまた然り、だけど。

こんな環境でずっと育ってきたのなら、この身体の持ち主は、相当気の毒だと思いますよ。