そうでなければ、有り得ない。
魔導師の数も少なく、使える魔法の数も少ない。
魔導理論も確立されていなくて、それ故に魔法の精度も甘い。
だから、たかが水魔法程度で天狗になれるのだ。
魔法の概念が浸透していなければ、確かにそうなるだろう。
何せ、何もないところから、水を作り出せるのだから。
魔法なんて知らない人からすれば、びっくりするだろうし、凄い力だと思うだろう。
成程、このお兄さん、何で魔導師の癖に食事をしているのかと思ったら。
この人は、自分の保有魔力だけで自給自足出来るほど、魔力が豊富ではないのだ。
素晴らしい魔導師だ、と褒め称えられてはいるけれど。
それは、この世界の価値基準で考えたら、の話。
俺の元いた世界の基準で考えたら、精々下の中くらいの魔導師。
文字通り、次元が違うのだ。
理解したけど、しかし納得は行かない。
そんな大したことない魔導師が、感謝状をもらってドヤ顔晒してるなんて。
元いた世界の基準を知っている身としては、失笑モノと言うか…。
幼稚園児が、「上手な絵を描けましたね〜」と、幼稚園の先生から表彰してもらってるみたいな。
そんな気分。
あー、はいはい。良かったですねー(棒読み)。
そんなことで天狗になるとは、恥ずかしくないんだろうか。
恥ずかしくないんだろうな。そういう世界に住んでるんだし。
「いやぁ、でも、魔導師もそれなりに大変だよ」
と、お兄さんはドヤ顔のまま言った。
「色々勉強しなきゃならないことも多いし、結構複雑なんだよ。魔法の勉強って。…普通の学生の勉強とは、訳が違うからさぁ」
チラッ、とお兄さんはこちらを向いて言った。
嘲りの目だった。
「まぁ、一般教育でさえ躓いてるお前には、到底理解出来ないだろうけど?」
お前、異空間に吹き飛ばすぞ。
今魔法使えないから、出来ませんが。
お兄さんが、そんな嫌味を俺にぶつけてきたことから。
お兄さんの褒め言葉大会から、今度は俺への悪口大会に変わった。
「そうよねぇ。お兄ちゃんはこんなに優秀なのに…あんたと来たら、どうして全然ダメなのかしらね」
「こっちも恥ずかしいんだぞ。兄は優秀なのに、弟の方はどうなのかって、毎回聞かれる度に返事に困るんだ。どう取り繕ったって、お前に褒められるところなんて一つもないもんな」
「お前みたいなのが弟なんて、本当に恥だよ。せめて、人並みの成績くらい取れば良いのに。それさえ出来ないんだもんな。情けなくないのか?」
母、父、兄が順番に言った。
三人共、明らかに俺を馬鹿にし、侮蔑し、蔑み、嘲っていた。
「せめて成績だけでも少しはマシになるようにって、折角高いお金を出して、良い塾に通わせてるのに。その成果も、ちっとも出てないしね」
と、母。
え?あの塾って、そんなにお高い塾なんですか?
ゴミみたいなハゲ教師が授業やってるから、てっきり、安いだけが取り柄の塾なんだとばかり。
でも、これで分かった。
あのハゲ教師が、俺を過剰に馬鹿にしていた理由が。
魔導師の数も少なく、使える魔法の数も少ない。
魔導理論も確立されていなくて、それ故に魔法の精度も甘い。
だから、たかが水魔法程度で天狗になれるのだ。
魔法の概念が浸透していなければ、確かにそうなるだろう。
何せ、何もないところから、水を作り出せるのだから。
魔法なんて知らない人からすれば、びっくりするだろうし、凄い力だと思うだろう。
成程、このお兄さん、何で魔導師の癖に食事をしているのかと思ったら。
この人は、自分の保有魔力だけで自給自足出来るほど、魔力が豊富ではないのだ。
素晴らしい魔導師だ、と褒め称えられてはいるけれど。
それは、この世界の価値基準で考えたら、の話。
俺の元いた世界の基準で考えたら、精々下の中くらいの魔導師。
文字通り、次元が違うのだ。
理解したけど、しかし納得は行かない。
そんな大したことない魔導師が、感謝状をもらってドヤ顔晒してるなんて。
元いた世界の基準を知っている身としては、失笑モノと言うか…。
幼稚園児が、「上手な絵を描けましたね〜」と、幼稚園の先生から表彰してもらってるみたいな。
そんな気分。
あー、はいはい。良かったですねー(棒読み)。
そんなことで天狗になるとは、恥ずかしくないんだろうか。
恥ずかしくないんだろうな。そういう世界に住んでるんだし。
「いやぁ、でも、魔導師もそれなりに大変だよ」
と、お兄さんはドヤ顔のまま言った。
「色々勉強しなきゃならないことも多いし、結構複雑なんだよ。魔法の勉強って。…普通の学生の勉強とは、訳が違うからさぁ」
チラッ、とお兄さんはこちらを向いて言った。
嘲りの目だった。
「まぁ、一般教育でさえ躓いてるお前には、到底理解出来ないだろうけど?」
お前、異空間に吹き飛ばすぞ。
今魔法使えないから、出来ませんが。
お兄さんが、そんな嫌味を俺にぶつけてきたことから。
お兄さんの褒め言葉大会から、今度は俺への悪口大会に変わった。
「そうよねぇ。お兄ちゃんはこんなに優秀なのに…あんたと来たら、どうして全然ダメなのかしらね」
「こっちも恥ずかしいんだぞ。兄は優秀なのに、弟の方はどうなのかって、毎回聞かれる度に返事に困るんだ。どう取り繕ったって、お前に褒められるところなんて一つもないもんな」
「お前みたいなのが弟なんて、本当に恥だよ。せめて、人並みの成績くらい取れば良いのに。それさえ出来ないんだもんな。情けなくないのか?」
母、父、兄が順番に言った。
三人共、明らかに俺を馬鹿にし、侮蔑し、蔑み、嘲っていた。
「せめて成績だけでも少しはマシになるようにって、折角高いお金を出して、良い塾に通わせてるのに。その成果も、ちっとも出てないしね」
と、母。
え?あの塾って、そんなにお高い塾なんですか?
ゴミみたいなハゲ教師が授業やってるから、てっきり、安いだけが取り柄の塾なんだとばかり。
でも、これで分かった。
あのハゲ教師が、俺を過剰に馬鹿にしていた理由が。


