「それで表彰されたのか?」
「まだだよ。でも、表彰って言うか…感謝状をもらえるらしいんだ」
「まぁ、凄いじゃない」
…。
…何の話してるんだろう?
空気的に、俺は会話に加わらない方が良い気がするが。
目の前で会話されると、全く無関心ではいられない。
感謝状?この青年が?
…そういえばこの人は、俺にとっては兄なんだっけ。
塾にいたハゲ教師も言ってたもんな。俺には兄がいる、みたいなことを…。
その兄が、こいつなのか。
ハゲ教師によれば、確かこいつ…魔導師なんだよな?
しかも、相当優秀な。
ん?でももしそうなら、何故一緒に食事をしてるんだ?
別に食べる必要なくないですか?
優秀な魔導師ともなれば、魔力量が豊富だから、食事の必要はないはすなのだが…。
しかし。
「ちょっと、お代わりしてくる」
「あら、それなら母さんが入れてあげるわ」
と、お兄さんが茶碗を持って立ち上がったのを、母親が制して、わざわざお代わりをよそってあげていた。
食べる必要がないどころか、お代わりしてる始末なんですが…。
どういうことなんですか、これは。本当に。
「ありがとう。今日はたくさん魔力使ったから、しっかり食べておかないといけなくてさ」
「良いのよ。そのお陰で感謝状までもらえるんだもの。なんて光栄なことかしら。たくさん食べなさい」
にこやかに会話する、兄と母。
たくさん魔力使った、って…。
それに、さっきからちょくちょく話題に上がってる言葉…。
「感謝状…?」
俺は、ボソッと呟くようにして聞いていた。
魔力使って感謝状って、どういうことですか。
すると。
あんなに、俺に対しては無関心を決め込んでいた癖に。
よくぞ聞いてくれたとばかりに、両親共に鼻息を荒くしてこちらを向いた。
は?
「この子ね、今日素晴らしい働きをしたってことで、感謝状をもらえることになったのよ」
母親は、まるで我が事のように喜び勇んでそう言った。
はぁ、そうなんですか。
素晴らしい働きっていうのは、何なんですかね。
「あぁ。○○町で火事が起きたらしいんだが、消防車より早く駆けつけて、消火活動に参加したんだ」
…は?
「そう、水魔法を使ってね。消防車の入りにくい細い路地だったから、俺が先行したんだ。お陰で、被害は住宅三棟が焼けるだけで済んだよ」
いや、三棟も燃やすまで、止められなかったんですか?
「俺は水魔法が一番得意だったからな。あんなに全力で魔法使ったのは初めてだよ」
「ね、立派でしょう?お陰で怪我人は一人も出なかったのよ」
それは良いことですけど。
でも、いや…。
…はい?
「消防車が着くまで、10分くらいあったけど…。もう、永遠に来ないかと思ったよ。それくらい疲れた」
「ふふ、お疲れ様」
「この英雄的な行いで、消防署から感謝状が出ることに決まったんだ。凄いだろう?」
…。
「本当にね、この子は、我が家の誇りだわ。ご近所さんも、口を揃えて褒めてくださるわ」
「鼻が高いよなぁ。身内から魔導師が、しかも、こんなに立派な魔導師が出るなんて」
そのとき、俺は。
頭の中が、それはぐるぐると回っていた。
「まだだよ。でも、表彰って言うか…感謝状をもらえるらしいんだ」
「まぁ、凄いじゃない」
…。
…何の話してるんだろう?
空気的に、俺は会話に加わらない方が良い気がするが。
目の前で会話されると、全く無関心ではいられない。
感謝状?この青年が?
…そういえばこの人は、俺にとっては兄なんだっけ。
塾にいたハゲ教師も言ってたもんな。俺には兄がいる、みたいなことを…。
その兄が、こいつなのか。
ハゲ教師によれば、確かこいつ…魔導師なんだよな?
しかも、相当優秀な。
ん?でももしそうなら、何故一緒に食事をしてるんだ?
別に食べる必要なくないですか?
優秀な魔導師ともなれば、魔力量が豊富だから、食事の必要はないはすなのだが…。
しかし。
「ちょっと、お代わりしてくる」
「あら、それなら母さんが入れてあげるわ」
と、お兄さんが茶碗を持って立ち上がったのを、母親が制して、わざわざお代わりをよそってあげていた。
食べる必要がないどころか、お代わりしてる始末なんですが…。
どういうことなんですか、これは。本当に。
「ありがとう。今日はたくさん魔力使ったから、しっかり食べておかないといけなくてさ」
「良いのよ。そのお陰で感謝状までもらえるんだもの。なんて光栄なことかしら。たくさん食べなさい」
にこやかに会話する、兄と母。
たくさん魔力使った、って…。
それに、さっきからちょくちょく話題に上がってる言葉…。
「感謝状…?」
俺は、ボソッと呟くようにして聞いていた。
魔力使って感謝状って、どういうことですか。
すると。
あんなに、俺に対しては無関心を決め込んでいた癖に。
よくぞ聞いてくれたとばかりに、両親共に鼻息を荒くしてこちらを向いた。
は?
「この子ね、今日素晴らしい働きをしたってことで、感謝状をもらえることになったのよ」
母親は、まるで我が事のように喜び勇んでそう言った。
はぁ、そうなんですか。
素晴らしい働きっていうのは、何なんですかね。
「あぁ。○○町で火事が起きたらしいんだが、消防車より早く駆けつけて、消火活動に参加したんだ」
…は?
「そう、水魔法を使ってね。消防車の入りにくい細い路地だったから、俺が先行したんだ。お陰で、被害は住宅三棟が焼けるだけで済んだよ」
いや、三棟も燃やすまで、止められなかったんですか?
「俺は水魔法が一番得意だったからな。あんなに全力で魔法使ったのは初めてだよ」
「ね、立派でしょう?お陰で怪我人は一人も出なかったのよ」
それは良いことですけど。
でも、いや…。
…はい?
「消防車が着くまで、10分くらいあったけど…。もう、永遠に来ないかと思ったよ。それくらい疲れた」
「ふふ、お疲れ様」
「この英雄的な行いで、消防署から感謝状が出ることに決まったんだ。凄いだろう?」
…。
「本当にね、この子は、我が家の誇りだわ。ご近所さんも、口を揃えて褒めてくださるわ」
「鼻が高いよなぁ。身内から魔導師が、しかも、こんなに立派な魔導師が出るなんて」
そのとき、俺は。
頭の中が、それはぐるぐると回っていた。


