車は、立派なガレージに置いているのに。
古ぼけた自転車は、家屋の片隅に、隠すように停めた。
で、重たい学生鞄を担いで、無駄に広い玄関に入る。
この時点で、ぐったりと疲れている。
それでも身体に自由が効くなら、外に出て周囲を探索するのに。
俺の乏しい労働意欲は、勝手に動く身体のせいで見事に消し飛ばされ。
鍵を開けて、自宅らしき家屋に入った。
見覚えのない家なのに、ここが自分の家だと分かる。
無駄に広いなぁ…何だこの家。
玄関には、三足分の靴が揃えて置いてある。
つまりこの家には、今三人の住人がいるってことだろうか。
まぁ当てにならないか。一人が二足置いてる可能性もあるし。
俺は靴を揃えて置き、玄関に上がった。
何処に向かうのかと思ったら、リビング。
広々としたリビングは、何やらワイワイ賑わっていた。
「まぁ、本当?なんて凄いの」
「本当になぁ。お前は我が家の誇りだ」
「いやぁ…それほどでもないよ」
…?
人の声が、三種類聞こえる。
やっぱり三人が住んでるんだ。
声のした部屋に入ってみると、そこは広々としたリビングダイニングで。
そのダイニングテーブルに座って、三人が楽しげに食事中だった。
…あれ?俺邪魔だったっぽい?
しばし、ダイニングの入り口でぽかんと立っていると。
「…ん?」
ようやく、中年のおっさん(多分父親)が、俺の存在に気づいた。
「なんだ、お前帰ってきたのか」
自転車で40分もかけて、必死こいて帰ってきた息子(ではないけど)に対して。
お帰りと言うでもなく、この興味なさそうな一言。
お前の髪の毛も焼け野原にしてやろうか。
すると、釣られて母親も俺に気づき。
「あら、居たの?気づかなかったわ」
母親として、って言うか人として、どうなのかと思う発言が来た。
これには、俺も返す言葉がない。
「あんたの夕飯、キッチンに置いてるから。勝手に食べて」
「…」
随分な扱いじゃないですか。
しかし、夕飯ですか。
…いつ以来だろうな?そんなもの食べるの。
この身体には魔力も魔導適性もないから、食事の必要があるんだっけ。
それは、まぁ不可抗力として。
この扱いの悪さはどうしたことか。
夕食セルフサービスなんですか。
しかも、なんかわちゃわちゃと楽しそうに喋ってるところに、割って入るの凄く嫌なんですけど。
しかし、この身体は栄養を摂取しなければ動けないので、食べないことには仕方がない。
俺は、ラップもされずにキッチンに放置されている食事の皿を取って、テーブルに持ってきた。
どうも済みませんね。俺が入ってきて。
いっそ誰よりも堂々と、豪快に食べてやろうか。
と思うのに、俺は自分の意志に反して、一人縮こまるようにして、もそもそと食べ始めていた。
ちょっと、もっと堂々としてくださいよ。
その間、両親ともう一人、俺より歳上っぽい男性(多分兄だろう)は、楽しげにお喋りに夢中だった。
古ぼけた自転車は、家屋の片隅に、隠すように停めた。
で、重たい学生鞄を担いで、無駄に広い玄関に入る。
この時点で、ぐったりと疲れている。
それでも身体に自由が効くなら、外に出て周囲を探索するのに。
俺の乏しい労働意欲は、勝手に動く身体のせいで見事に消し飛ばされ。
鍵を開けて、自宅らしき家屋に入った。
見覚えのない家なのに、ここが自分の家だと分かる。
無駄に広いなぁ…何だこの家。
玄関には、三足分の靴が揃えて置いてある。
つまりこの家には、今三人の住人がいるってことだろうか。
まぁ当てにならないか。一人が二足置いてる可能性もあるし。
俺は靴を揃えて置き、玄関に上がった。
何処に向かうのかと思ったら、リビング。
広々としたリビングは、何やらワイワイ賑わっていた。
「まぁ、本当?なんて凄いの」
「本当になぁ。お前は我が家の誇りだ」
「いやぁ…それほどでもないよ」
…?
人の声が、三種類聞こえる。
やっぱり三人が住んでるんだ。
声のした部屋に入ってみると、そこは広々としたリビングダイニングで。
そのダイニングテーブルに座って、三人が楽しげに食事中だった。
…あれ?俺邪魔だったっぽい?
しばし、ダイニングの入り口でぽかんと立っていると。
「…ん?」
ようやく、中年のおっさん(多分父親)が、俺の存在に気づいた。
「なんだ、お前帰ってきたのか」
自転車で40分もかけて、必死こいて帰ってきた息子(ではないけど)に対して。
お帰りと言うでもなく、この興味なさそうな一言。
お前の髪の毛も焼け野原にしてやろうか。
すると、釣られて母親も俺に気づき。
「あら、居たの?気づかなかったわ」
母親として、って言うか人として、どうなのかと思う発言が来た。
これには、俺も返す言葉がない。
「あんたの夕飯、キッチンに置いてるから。勝手に食べて」
「…」
随分な扱いじゃないですか。
しかし、夕飯ですか。
…いつ以来だろうな?そんなもの食べるの。
この身体には魔力も魔導適性もないから、食事の必要があるんだっけ。
それは、まぁ不可抗力として。
この扱いの悪さはどうしたことか。
夕食セルフサービスなんですか。
しかも、なんかわちゃわちゃと楽しそうに喋ってるところに、割って入るの凄く嫌なんですけど。
しかし、この身体は栄養を摂取しなければ動けないので、食べないことには仕方がない。
俺は、ラップもされずにキッチンに放置されている食事の皿を取って、テーブルに持ってきた。
どうも済みませんね。俺が入ってきて。
いっそ誰よりも堂々と、豪快に食べてやろうか。
と思うのに、俺は自分の意志に反して、一人縮こまるようにして、もそもそと食べ始めていた。
ちょっと、もっと堂々としてくださいよ。
その間、両親ともう一人、俺より歳上っぽい男性(多分兄だろう)は、楽しげにお喋りに夢中だった。


