「夜間の間に侵入…か。夜間と言える根拠は?昼間の間に、乗客の誰かが、爆発物を線路に仕込んでいた可能性は?」
と、無闇が尋ねた。
確かに。
夜間に忍び込むより、昼間のうちに乗客に紛れて、爆弾を仕込む方が、楽っちゃ楽だ。
いや、むしろ昼間は人目につくから、敢えて夜間にしたとか?
「いえ、毎晩終電の後に、列車内や線路内の確認作業をしているので。怪しいものがあれば、全て回収する手筈になっているのです」
と、駅長さんは答えた。
そうなんだ。
そこまで、セキュリティは甘くないということか。
「そして、昨晩の点検では、怪しいものは何も見つかりませんでした」
そうか。
じゃあ犯人は、終電後の点検も承知の上で、周到に準備をし。
点検が終わり、駅員達が撤収した頃を見計らって、こっそり線路内に入り込み。
爆発物を仕掛けて、その場を去り。
朝になるのを待って、起爆した…ってことだな。
どうやら犯人は、線路を壊すことが目的だったようだな。
犯人が現場にいなかったのなら、使われたのは遠隔操作式か、時限式の爆弾。
任意のタイミングで、いつでも起爆出来たはず。
つまり、俺がさっき考えた、最悪のタイミング…。
朝のピーク時に起爆しようと思えば、出来たはずなのだ。
しかし犯人はそれをせず、敢えて人のいない時間帯に起爆させた。
人を殺す意志はなかった、ということだ。
だからって、線路を壊して良いのかと聞かれたら、そんな訳ないけど。
見てみろ、その悪党のせいで、どれだけの人間が迷惑を被っているか。
危うく、ヘーゼルも怪我をしかねないところだったんだぞ。
おまけに、遥々聖魔騎士団から、エリュティアと無闇まで駆り出された。
大悪党だ。
「成程ね…。じゃあ、現時点では、犯人は分からない…と」
「…面目次第もございません…」
駅長さんは、またしても深々と頭を下げたが。
「いやいや、あなたが悪いんじゃないから…」
「いえ、私の管理不足のせいで、このような事態を招いてしまい…」
もう、「切腹しろ」と言われたら、本気で実行しかねないほど、申し訳無さそうに頭を下げる駅長さん。
気の毒過ぎて、見ていられない。
恐らく、シルナも俺と同じことを思ったのだろう。
「羽久、お願い出来る?」
と、尋ねてきた。
「当たり前だ」
そう答えて、俺は杖を取り出した。
「駅長さん。悪いが、線路内にいる作業員を全員撤収させてもらえないか?」
俺は、駅長さんにそう言った。
「え…?で、ですが…復旧作業を…」
「大丈夫だ。何の為に、聖魔騎士団魔導部隊が来たと思ってる?すぐに『復旧』してみせるよ」
「それに、爆発が起きたのなら、まだ崩落や倒壊の危険もある。後のことは、我々に任せて欲しい」
俺と無闇が、続けてそう言った。
その通り。
折角、今のところ怪我人はゼロで抑えられているのだ。
この後、二次災害で怪我人が出ました、なんて事態に発展したら、目も当てられない。
「わ、分かりました…。魔導師様が、そう仰るなら…」
だから、「様」はやめろって。
と、無闇が尋ねた。
確かに。
夜間に忍び込むより、昼間のうちに乗客に紛れて、爆弾を仕込む方が、楽っちゃ楽だ。
いや、むしろ昼間は人目につくから、敢えて夜間にしたとか?
「いえ、毎晩終電の後に、列車内や線路内の確認作業をしているので。怪しいものがあれば、全て回収する手筈になっているのです」
と、駅長さんは答えた。
そうなんだ。
そこまで、セキュリティは甘くないということか。
「そして、昨晩の点検では、怪しいものは何も見つかりませんでした」
そうか。
じゃあ犯人は、終電後の点検も承知の上で、周到に準備をし。
点検が終わり、駅員達が撤収した頃を見計らって、こっそり線路内に入り込み。
爆発物を仕掛けて、その場を去り。
朝になるのを待って、起爆した…ってことだな。
どうやら犯人は、線路を壊すことが目的だったようだな。
犯人が現場にいなかったのなら、使われたのは遠隔操作式か、時限式の爆弾。
任意のタイミングで、いつでも起爆出来たはず。
つまり、俺がさっき考えた、最悪のタイミング…。
朝のピーク時に起爆しようと思えば、出来たはずなのだ。
しかし犯人はそれをせず、敢えて人のいない時間帯に起爆させた。
人を殺す意志はなかった、ということだ。
だからって、線路を壊して良いのかと聞かれたら、そんな訳ないけど。
見てみろ、その悪党のせいで、どれだけの人間が迷惑を被っているか。
危うく、ヘーゼルも怪我をしかねないところだったんだぞ。
おまけに、遥々聖魔騎士団から、エリュティアと無闇まで駆り出された。
大悪党だ。
「成程ね…。じゃあ、現時点では、犯人は分からない…と」
「…面目次第もございません…」
駅長さんは、またしても深々と頭を下げたが。
「いやいや、あなたが悪いんじゃないから…」
「いえ、私の管理不足のせいで、このような事態を招いてしまい…」
もう、「切腹しろ」と言われたら、本気で実行しかねないほど、申し訳無さそうに頭を下げる駅長さん。
気の毒過ぎて、見ていられない。
恐らく、シルナも俺と同じことを思ったのだろう。
「羽久、お願い出来る?」
と、尋ねてきた。
「当たり前だ」
そう答えて、俺は杖を取り出した。
「駅長さん。悪いが、線路内にいる作業員を全員撤収させてもらえないか?」
俺は、駅長さんにそう言った。
「え…?で、ですが…復旧作業を…」
「大丈夫だ。何の為に、聖魔騎士団魔導部隊が来たと思ってる?すぐに『復旧』してみせるよ」
「それに、爆発が起きたのなら、まだ崩落や倒壊の危険もある。後のことは、我々に任せて欲しい」
俺と無闇が、続けてそう言った。
その通り。
折角、今のところ怪我人はゼロで抑えられているのだ。
この後、二次災害で怪我人が出ました、なんて事態に発展したら、目も当てられない。
「わ、分かりました…。魔導師様が、そう仰るなら…」
だから、「様」はやめろって。


