「…そろそろ、良いかな」
俺は一人呟いて、ベッドから起き上がった。
時刻は、午前一時近くになっている。
そろそろ、家族も寝静まった頃だろうと思ったのだ。
今がどういう状況なのかは分からないが。
とにかく動き出さないことには、何も始まらない。
俺はベッドを出て、こっそり部屋の扉を開けた。
外に出るつもりだった。
心配要らない。深夜徘徊なら、慣れたものだ。
雪刃時代に、散々やっている。
とにかく外に出て、少しでも分かることを増やし、状況を把握しようと思ったのだ。
俺は出来るだけ音を立てないように、階段を降りた。
すると。
「…!」
とっくに、家族は寝室に戻って眠っているとばかり思っていたが。
リビングダイニングに通じる扉からは、光が漏れていた。
どうやら、まだ起きているらしい。
えらく宵っ張りだな。
話し声が聞こえる。
起きているのは…叔父と叔母の二人のようだ。
俺は、そっと扉の近くに近寄った。
すると、話し声がよりはっきり聞こえてきた。
「昼間、うちの馬鹿姉が、また金の無心に電話してきたよ」
叔父さんが、呆れたような声でそう言っていた。
「またなの?この間も、家賃が足りないからって…」
「あぁ。今度は友達に借金を返さないといけないんだと。全く…断っても断ってもキリがない」
叔父さんの言う、うちの馬鹿姉っていうのは…。
もしかして…俺の…。
「本当にね…。いつまでたってもこんな調子じゃ、やっぱりあの子をお義姉さんの家に返す訳にはいかないわね」
「そうだな。今日も電話のとき言ってたよ、息子を返せってな。返したところで、学校やめさせて働かせるつもりなのは、分かりきってる」
…やっぱり、俺のこと…だよな?
記憶はないが、これは自分のことだという確信がある。
俺にはちゃんと母親がいて、生まれ育った実家もあるけれど。
母親が、高校へは行かせない、すぐ働かせて家に金を入れさせると豪語していたものだから。
見かねた叔父夫婦が俺を引き取り、近くの高校に通わせてくれているのだ。
それが、俺の今の現状なのだ。
自分のことではないはずなのに、なんとも気の毒な境遇で、可哀想になってくる。
俺は一人呟いて、ベッドから起き上がった。
時刻は、午前一時近くになっている。
そろそろ、家族も寝静まった頃だろうと思ったのだ。
今がどういう状況なのかは分からないが。
とにかく動き出さないことには、何も始まらない。
俺はベッドを出て、こっそり部屋の扉を開けた。
外に出るつもりだった。
心配要らない。深夜徘徊なら、慣れたものだ。
雪刃時代に、散々やっている。
とにかく外に出て、少しでも分かることを増やし、状況を把握しようと思ったのだ。
俺は出来るだけ音を立てないように、階段を降りた。
すると。
「…!」
とっくに、家族は寝室に戻って眠っているとばかり思っていたが。
リビングダイニングに通じる扉からは、光が漏れていた。
どうやら、まだ起きているらしい。
えらく宵っ張りだな。
話し声が聞こえる。
起きているのは…叔父と叔母の二人のようだ。
俺は、そっと扉の近くに近寄った。
すると、話し声がよりはっきり聞こえてきた。
「昼間、うちの馬鹿姉が、また金の無心に電話してきたよ」
叔父さんが、呆れたような声でそう言っていた。
「またなの?この間も、家賃が足りないからって…」
「あぁ。今度は友達に借金を返さないといけないんだと。全く…断っても断ってもキリがない」
叔父さんの言う、うちの馬鹿姉っていうのは…。
もしかして…俺の…。
「本当にね…。いつまでたってもこんな調子じゃ、やっぱりあの子をお義姉さんの家に返す訳にはいかないわね」
「そうだな。今日も電話のとき言ってたよ、息子を返せってな。返したところで、学校やめさせて働かせるつもりなのは、分かりきってる」
…やっぱり、俺のこと…だよな?
記憶はないが、これは自分のことだという確信がある。
俺にはちゃんと母親がいて、生まれ育った実家もあるけれど。
母親が、高校へは行かせない、すぐ働かせて家に金を入れさせると豪語していたものだから。
見かねた叔父夫婦が俺を引き取り、近くの高校に通わせてくれているのだ。
それが、俺の今の現状なのだ。
自分のことではないはずなのに、なんとも気の毒な境遇で、可哀想になってくる。


