…その後。
ぼんやりと天井を見上げていた俺は、不意に部屋を訪ねてきた叔母さんに、声をかけられた。
夕食の支度が出来たから、一階に降りておいで、とのこと。
あ、はい。
先程のダイニングに戻ると、既に食卓の上には、料理の数々が並べられていた。
普段、食事をする機会がほとんどないので、こういうきちんとした食卓を見ると、ちょっと気圧されてしまう。
それより気になったのは、既に食卓について俺を待っていた、二人の家族の存在だ。
この家の人間なのだろう。
一人は父親らしき人物で、もう一人は中学生くらいの女の子だった。
多分、この夫妻の娘だと思われる。
俺は居候らしいから、俺だけ除け者のはずなのだが。
何故か、元々一家四人でしたと言わんばかりに、俺の分もきちんと食卓に並べられていて。
何だか申し訳ない気分になる。
どぎまぎしながら、食事が始まる。
目の前の人は、この家族の父親で…俺にとって叔父に当たる存在。
横に座っている女の子は、この家の娘で、だから俺にとっては従兄妹に当たる存在。
何の説明もされていないのに、そういう確信があった。
何とも落ち着かない気分で、黙々と食事をしていると。
点けっぱなしのテレビが、不穏なニュースを伝え始めた。
『…それでは、次のニュースです。今日正午頃、○○市の民家で火災が発生しました』
…何とも不穏なニュースである。
アナウンサーさん、うち、今食事中なんですよ。そういうニュースは後にしてください。
と言いたいところだったが、そんな俺のささやかな願いが、報道局に通じるはずもなく。
『火は周辺の民家を巻き込み、計5棟が全焼、火元と見られる家には、焼け跡から、この家の住民と見られる50代の夫婦の遺体が発見され…』
なんと。とても痛ましいニュースだ。
「うわっ、酷い…」
従兄妹の女の子が、焼け落ちた家屋を映しているテレビを見て、そう呟いた。
本当に。酷い焼け跡だ。
完全に燃え尽きてるじゃないか。
これじゃあ、死人が出るのも当然だ。
「○○市って、すぐ近くじゃん。クラスメイトが一人、その辺から通ってきてるよ」
と、従兄妹の女の子が言った。
あ、そうなんだ…。それは気の毒に…。
「あの辺りは、住宅が密集してるからなぁ…。燃え移るのも早かったんだろう。消防車が入ろうにも、あそこは道も狭いし…」
この家のお父さん、つまり叔父さんが、残念そうに言った。
そうなんだ…。ますます気の毒に…。
…ん?
消防車?
俺は、その言葉に酷く違和感を覚えた。
「消防車なんてなくても…。魔導師が火を消しに行けば良いのに」
思わず、そう呟いていた。
ぼんやりと天井を見上げていた俺は、不意に部屋を訪ねてきた叔母さんに、声をかけられた。
夕食の支度が出来たから、一階に降りておいで、とのこと。
あ、はい。
先程のダイニングに戻ると、既に食卓の上には、料理の数々が並べられていた。
普段、食事をする機会がほとんどないので、こういうきちんとした食卓を見ると、ちょっと気圧されてしまう。
それより気になったのは、既に食卓について俺を待っていた、二人の家族の存在だ。
この家の人間なのだろう。
一人は父親らしき人物で、もう一人は中学生くらいの女の子だった。
多分、この夫妻の娘だと思われる。
俺は居候らしいから、俺だけ除け者のはずなのだが。
何故か、元々一家四人でしたと言わんばかりに、俺の分もきちんと食卓に並べられていて。
何だか申し訳ない気分になる。
どぎまぎしながら、食事が始まる。
目の前の人は、この家族の父親で…俺にとって叔父に当たる存在。
横に座っている女の子は、この家の娘で、だから俺にとっては従兄妹に当たる存在。
何の説明もされていないのに、そういう確信があった。
何とも落ち着かない気分で、黙々と食事をしていると。
点けっぱなしのテレビが、不穏なニュースを伝え始めた。
『…それでは、次のニュースです。今日正午頃、○○市の民家で火災が発生しました』
…何とも不穏なニュースである。
アナウンサーさん、うち、今食事中なんですよ。そういうニュースは後にしてください。
と言いたいところだったが、そんな俺のささやかな願いが、報道局に通じるはずもなく。
『火は周辺の民家を巻き込み、計5棟が全焼、火元と見られる家には、焼け跡から、この家の住民と見られる50代の夫婦の遺体が発見され…』
なんと。とても痛ましいニュースだ。
「うわっ、酷い…」
従兄妹の女の子が、焼け落ちた家屋を映しているテレビを見て、そう呟いた。
本当に。酷い焼け跡だ。
完全に燃え尽きてるじゃないか。
これじゃあ、死人が出るのも当然だ。
「○○市って、すぐ近くじゃん。クラスメイトが一人、その辺から通ってきてるよ」
と、従兄妹の女の子が言った。
あ、そうなんだ…。それは気の毒に…。
「あの辺りは、住宅が密集してるからなぁ…。燃え移るのも早かったんだろう。消防車が入ろうにも、あそこは道も狭いし…」
この家のお父さん、つまり叔父さんが、残念そうに言った。
そうなんだ…。ますます気の毒に…。
…ん?
消防車?
俺は、その言葉に酷く違和感を覚えた。
「消防車なんてなくても…。魔導師が火を消しに行けば良いのに」
思わず、そう呟いていた。


