神殺しのクロノスタシスⅣ

さて。

俺はお弁当箱を叔母さんに渡し、バスルームで手を洗った後。

相変わらず、本能のままに二階に上がって。

ここだ、と思う部屋に入った。

やっぱり見覚えはないけど、ここが自分の部屋なのだという確信がある。

小ぢんまりとした部屋で、折り畳み式ベッドと、背の低いクロゼットと本棚、小さなローテーブルがあるだけの部屋で。

写真とか置物とか雑誌とか、生活感のあるものは何も置いていなかった。

成程、居候の部屋だと思えば、それも納得が行く。

急ごしらえで人が住める空間を作った、って感じだ。

それはともかく。

俺はようやく、一人になれた。

一人で、落ち着く時間が出来た。

だから。

「…ベルフェゴール」

俺は、唯一無二の相棒の名前を呼んだ。