ようやく、学校からも、あの三人からも解放されたのだ。
ここが何処なのか、自分は一体どんな状況に置かれているのか、色々確認したいことがあった。
しかし。
「…疲れた…」
俺は、ポツリとそう呟いた。
疲れた?
いや、確かに疲れたけど、今は休むことより、状況を把握することの方が先のはず。
それなのに俺の足は、勝手に歩き始めていた。
え、ちょっと、何処に行くんですか?
第一、俺に行くところなんて…と、思っていたが。
20分ほど歩いて、日が暮れてきた頃。
俺は、戸建ての一軒家の玄関に立っていた。
…足が導くまま、ここまで歩いてきたけど。
ここが俺の家なのか?
相変わらず、全く見覚えがないが。
本能が、この家を目指し、そして玄関の扉を掴んでいた。
ほ、本当にこの家なんだよな?
もし間違っていたら、ただの不法侵入者だぞ。
しかし、本能には逆らえず、その家に入る。
見たことはないはずなのに、俺の身体は勝手を覚えていて。
靴を脱ぎ、手を洗う為にバスルームに向かおうと、廊下をすたすた歩く。
廊下を抜けると、広いリビングダイニングに繋がっていて。
ダイニングキッチンで、忙しく動いている女性と、目が合った。
俺は勿論、その人に見覚えはなかった。
これで、相手も俺に見覚えがなかったら、警察沙汰不可避。
しかし。
「あら、お帰り…。遅かったのね」
女性は柔らかい笑顔を浮かべて、俺にそう言った。
あ、はい。
良かった。知り合いのようだ。
お帰りと言われたってことは、俺はこの家に住んでるってことなんだろう。
じゃあこの人は、もしかして俺の母親…?かと思ったが。
「叔母さん…ただいま」
俺は、その女性のことを無意識に、「叔母さん」と呼んでいた。
そして、叔母さんと呼ばれた女性も、異論なくその呼称を受け入れていた。
母親じゃなくて、叔母なのか。
何で、叔母の家に帰ってきてるんだ?
…下宿?
頭の中は疑問符でいっぱいだったが。
叔母さんは、そんな俺の内心など知る由もなく。
「お弁当箱、洗っちゃうから出してくれる?」
と言った。
え、お弁当箱?
もしかして、もしかしなくても、お弁当を作ってくれたのはあなたですか。
俺は、学生鞄の中からお弁当箱を取り出したけど。
一口も食べなかったお弁当の中身は、ゴミ箱に捨てられ。
その挙げ句、乱暴に扱われたお弁当箱の蓋は、ヒビが入って割れていた。
そんな有様のお弁当箱を渡すのは、とても心苦しかったが。
身体が、勝手に動いていた。
ここが何処なのか、自分は一体どんな状況に置かれているのか、色々確認したいことがあった。
しかし。
「…疲れた…」
俺は、ポツリとそう呟いた。
疲れた?
いや、確かに疲れたけど、今は休むことより、状況を把握することの方が先のはず。
それなのに俺の足は、勝手に歩き始めていた。
え、ちょっと、何処に行くんですか?
第一、俺に行くところなんて…と、思っていたが。
20分ほど歩いて、日が暮れてきた頃。
俺は、戸建ての一軒家の玄関に立っていた。
…足が導くまま、ここまで歩いてきたけど。
ここが俺の家なのか?
相変わらず、全く見覚えがないが。
本能が、この家を目指し、そして玄関の扉を掴んでいた。
ほ、本当にこの家なんだよな?
もし間違っていたら、ただの不法侵入者だぞ。
しかし、本能には逆らえず、その家に入る。
見たことはないはずなのに、俺の身体は勝手を覚えていて。
靴を脱ぎ、手を洗う為にバスルームに向かおうと、廊下をすたすた歩く。
廊下を抜けると、広いリビングダイニングに繋がっていて。
ダイニングキッチンで、忙しく動いている女性と、目が合った。
俺は勿論、その人に見覚えはなかった。
これで、相手も俺に見覚えがなかったら、警察沙汰不可避。
しかし。
「あら、お帰り…。遅かったのね」
女性は柔らかい笑顔を浮かべて、俺にそう言った。
あ、はい。
良かった。知り合いのようだ。
お帰りと言われたってことは、俺はこの家に住んでるってことなんだろう。
じゃあこの人は、もしかして俺の母親…?かと思ったが。
「叔母さん…ただいま」
俺は、その女性のことを無意識に、「叔母さん」と呼んでいた。
そして、叔母さんと呼ばれた女性も、異論なくその呼称を受け入れていた。
母親じゃなくて、叔母なのか。
何で、叔母の家に帰ってきてるんだ?
…下宿?
頭の中は疑問符でいっぱいだったが。
叔母さんは、そんな俺の内心など知る由もなく。
「お弁当箱、洗っちゃうから出してくれる?」
と言った。
え、お弁当箱?
もしかして、もしかしなくても、お弁当を作ってくれたのはあなたですか。
俺は、学生鞄の中からお弁当箱を取り出したけど。
一口も食べなかったお弁当の中身は、ゴミ箱に捨てられ。
その挙げ句、乱暴に扱われたお弁当箱の蓋は、ヒビが入って割れていた。
そんな有様のお弁当箱を渡すのは、とても心苦しかったが。
身体が、勝手に動いていた。


