神殺しのクロノスタシスⅣ

あ、いや。

俺達も、紛れもなく聖魔騎士団の人間なのだが。

やって来たエリュティアと無闇(むやみ)の方も、びっくりした様子だった。

お互い、まさかこんなところで鉢合わせするとは、夢にも思わなかっただろうから。

「駅長!こちら、聖魔騎士団から派遣された、魔導部隊の隊長さん方です」

何も知らされていない、俺達を案内してくれた人とは別の駅員さんが、駅長さんにそう言った。
 
しかし駅長さんは、今いる俺とシルナが、聖魔騎士団から派遣された人物だと思っているので。

「え?何でまた?」と思っているのか、ポカンとした顔。

俺とシルナは、「本当は指令なんか来てないのに、嘘バレるかもしれない」と戦々恐々とし。

エリュティアと無闇は当然ながら、「何でお前らここにいるの?」みたいな顔。

実際、そう思ってるんだろう。

「…え?聖魔騎士団の魔導師様なら、こちらに…」

「はい?」

駅長さんが首を傾げて言い、エリュティア達を連れてきた駅員さんも首を傾げ。

これはヤバいと思ったら。

「え、あ、あの、私、ただ生徒にチョコを、いでっ」

意味不明な言い訳をしようとしたシルナの足を、ゲシッ、と蹴っ飛ばし。

俺は駅長さんに見えないよう背を向け、エリュティアと無闇に向かって、身振り手振りを加えながら、必死に口パクした。

「合わせてくれ」と。

かろうじて、エリュティアはこくこくと頷き。

無闇は、さすがの貫禄と言うべきか、瞬時に事を理解したとばかりに小さく頷いた。

そして。

「あ、あぁ。二人にも、指令が来たのか?」

俺は、わざとらしくエリュティアと無闇に言った。

すると。

「は、はい。遅れ馳せながら。先の二人に合流するようにと…」

「シャネオンは、王都に次ぐ大都市だ。人手は多いに越したことはない、と言われてな」

エリュティアと無闇が、上手いこと合わせてくれた。

ありがてぇ。

「チョコレートを生徒にあげたかった」などという、意味不明な言い訳をしようとしたシルナとは、大違いだ。

「あぁ、そういうことでしたか」

駅長さんは、この説明で納得してくれた。

ホッ。

「四人も来てくださるなんて…。本当にありがとうございます…」

心が痛むから、もう頭下げるのやめてくれ。

嘘ついてんのこっちなんだから。

「それで…一体、何があったんだ?」

早いところ話を変えようと、俺は強引にもとの話題に引き戻した。

すると。

「えぇと…実際にお見せしますので、どうぞこちらに」

駅長さんに、そう言われ。

俺とシルナ、それからエリュティアと無闇は、駅員室を出て、特別に駅のホームに入れてもらうことになった。