しばし三人の間に、沈黙が流れた。

沈黙を破ったのは、ジュリス君の深い溜め息だった。

「はぁ…。成程、あんたが頑なに黙ってた理由が分かったよ…」

「…ごめんね」

「いや、別にあんたが悪い訳じゃねぇけど…」

…いや、ジュリス君。

私が悪いんだよ。本当は。

「つまり、俺達は現状詰んでる訳だ。四人を探そうにも、敵さんが魔封じの石を所有している限り、魔導師の俺達には手出しが出来ない」

「…」

「更に行方の分からない四人も、魔封じのせいで魔法が使えないから、自分達で帰ってこようにも身動きが取れない。おまけと言っちゃなんだが、敵さんは更に同じような魔封じの石を、他にも所有している」

…そういうことになるね。

「最悪じゃねぇか…」

「…言い返す言葉が見つからないよ…」

助けに行きたくても、助けに行けない。

それどころか、ミイラ取りがミイラになりかねない。

こんな状況で、私達はどうすれば良い?

どうすれば、消えた四人を助け出し。

魔封じの石を手にした『サンクチュアリ』と対抗出来る?

「飛ばされた異次元世界…ってのは、どんなとこなんだ?それも見当がつかないのか?」

ジュリス君が、せめてそれだけでも、といった風に尋ねた。

…そうだね…。

こんなことを言ったら、不安にさせてしまうかもしれないけど…。

「魔封じの石を使った者の意志が、あの魔法陣には反映されているから…」

「から?」

「『サンクチュアリ』の人々は、魔導師が嫌いなんだよね。で、魔導師が嫌いな人の意志が反映された世界だから…」

…これ以上は、言わなくても分かる、よね。

「…魔導師である四人にとって、楽しい場所なはずがない…ってことか」

「うん…」

助けに行ける訳でもないのに、こんな悪い情報ばかり集めて。

心が休まるということがない。

…ただ。

「…唯一、可能性があるとすれば」

と、私は言った。

「可能性?」

「そう。気づいてくれれば良いんだけど…。消えた四人が…魔封じの石の欠点に…」

私が、羽久とジュリス君に「その話」をすると。

二人共、沈みかけていた顔に、僅かな希望が浮かんだ。